心臓リハビリテーションでCABG後の死亡リスク低下

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/12/07

 

 冠動脈バイパス手術(CABG)後の患者では、心臓リハビリテーション(CR)の利用により、退院後2年以内の死亡リスクが低下するという研究結果が「Annals of Thoracic Surgery」に6月29日掲載された。

 CRは冠動脈血行再建術を受けた患者に対し、転帰改善を目的として外来で提供される監督下の運動リハビリテーションプログラムである。しかし、CABG後の患者に対するCRの実臨床での長期転帰データは十分には得られていない。そこで、米ミシガン大学アナーバー校のTyler M. Bauer氏らは、米ミシガン州におけるメディケア出来高払い請求登録と診療データを紐付け、2015年1月1日~2019年9月30日に同州内の33施設において単独CABGを受けて生存退院した患者を特定。退院後1年以内にCRを利用した患者と利用しなかった患者の間で、退院後2年以内の死亡リスクが異なるか否かを比較した。また、CRの利用セッション数のカテゴリによる違いも検討した。

 解析では、まず、患者因子と病院ごとのランダム切片を調整した混合効果ロジスティック回帰により、CR利用に影響する要因を定量化した。次に、CR利用群と非利用群、および利用セッション数のカテゴリ間で、2年死亡率を算出。未調整、多変量調整、逆確率治療重み付け(IPTW)ロジスティック回帰モデルにより、CR利用と関連することが判明したベースライン時の患者因子を調整し、死亡率の変化を推定した。

 解析の結果、CABGを受けた対象患者6,412人(平均71.16歳、女性28.85%)のうち、3,848人(60.0%)がCRを利用していた。CR利用群の利用セッション数は平均23.2回であり、米国心臓協会(AHA)などが推奨する36回のセッションを完了した患者は770人(12.0%)に留まった。CRへの紹介率は病院により48.9%から100%までの幅があったが、中央値は98.0%だった。実際の利用率にも病院により26.8%から80.5%までの幅があった。退院後のCR利用を予測する患者因子として、高齢、待機手術、自宅への退院(長期療養施設と比較)、入院期間の短さなどが挙げられた。

 CR利用群では非利用群と比較して、未調整の2年死亡率が有意に低かった(3.7%対13.1%、9.4%減、95%信頼区間10.8~7.9、P<0.001)。IPTW解析をしても、同様の効果が認められた(4.8%減、95%信頼区間6.0~3.5、P<0.001)。さらにCR利用セッション数別に見ると、0回の患者では2年死亡率が13.1%だったのに対し、1~11回の患者では5.2%となり、12~23回で3.9%、24~35回で3.3%、全36回完了で2.7%となった。

 Bauer氏は、「今回のデータから、CRの利用が2年死亡率の低下に関連することが示唆された。今後の質向上の取り組みでは、CRへの登録と完了が不十分となる根本原因を特定し、それに対処することを検討すべきである」と結論付けている。

[2023年8月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら