スタチン系薬剤が肝臓がんリスクを低下させることは過去の研究で判明しているが、新たな研究で、少なくとも1つの非スタチン系脂質低下薬にも肝臓がんリスクを低下させる効果がある可能性が示唆された。米国立がん研究所のKatherine McGlynn氏らによるこの研究結果は、「Cancer」に7月29日掲載された。
McGlynn氏らは、英国のClinical Practice Research Datalink(CPRD)から抽出した、原発性肝臓がん患者3,719人と、これと年齢、性別、診療歴、CPRD参加歴に加えて、糖尿病または慢性肝疾患の有無を一致させた対照1万4,876人を対象に、非スタチン系脂質低下薬と肝臓がんリスクとの関連を検討した。対象とした非スタチン系脂質低下薬は、コレステロール吸収抑制薬、胆汁酸再吸収抑制薬、フィブラート系薬、ナイアシン、オメガ3脂肪酸であった。
その結果、コレステロール吸収抑制薬の使用歴は肝臓がんリスクの低下と有意に関連することが示された(オッズ比0.69、95%信頼区間0.50〜0.96)。コレステロール吸収抑制薬の使用時期で分けて検討したところ、過去の使用者では有意なリスク低下が認められたが(同0.52、0.33〜0.83)、現在の使用者でのリスク低下は有意ではなかった(同0.92、0.59〜1.42)。2型糖尿病や慢性肝疾患の有無に基づく解析でも同様の結果が得られた(2型糖尿病:同0.46、0.22〜0.97、慢性肝疾患:同0.53、0.30〜0.96)。また、予期された通り、スタチン系薬剤の使用歴も肝臓がんリスクの有意な低下と関連していた(同0.65、0.58〜0.74)。
その一方で、胆汁酸再吸収抑制薬については、全体的な解析では肝臓がんリスクの増加との関連が認められたが(同5.31、3.534〜7.97)、2型糖尿病と慢性肝疾患の有無に基づく解析では一貫した結果が得られなかった。また、フィブラート系薬、ナイアシン、オメガ3脂肪酸と肝臓がんリスクとの間に有意な関連は認められなかった。
McGlynn氏は、「非スタチン系脂質低下薬が肝臓がんリスクに及ぼす影響を検討した研究はほとんどないため、本研究結果が他の集団においても再現されるのかを確かめる必要がある。もし他の研究でも確認されれば、われわれが得た知見は、肝臓がん予防に関する研究で役立つ可能性がある」と「Cancer」誌のニュースリリースで述べている。
[2024年7月31日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら