米国では過去10年間で2型糖尿病有病率が約20%上昇したとする論文が、「Diabetes, Obesity and Metabolism」に7月18日掲載された。論文の筆頭著者である、米ジョージア大学のSulakshan Neupane氏は同大学発のリリースの中で、「米国では糖尿病患者数が日々増加していて、今後数年間でさらに増加するだろう。糖尿病のために発生する経済的負担は、直接的な医療費のほかに生産性の低下などの間接的なものも含めれば、約4120億ドルに上る。既に莫大な額だが、糖尿病患者の増加を背景に、今後さらに増大するだろう」との予測を述べている。
この研究には、毎年40万人以上の成人を対象に行われている継続的な健康調査のデータが用いられた。解析の結果、2型糖尿病有病率は2012年には10.18%(95%信頼区間10.01~10.36)であったものが、2022年には12.10%(同11.96~12.26)となり、この10年間で18.86%、有意に上昇していたことが明らかになった(P<0.001)。
また、2型糖尿病の最も大きなリスク要因は年齢であることも示唆された。例えば、18~44歳に比較した場合、65歳以上の高齢者ではオッズ比が10倍以上に上った(調整オッズ比〔aOR〕10.23〔9.99~10.47〕)。45~64歳のオッズ比も5倍以上だった(aOR5.16〔5.05~5.29〕)。
所得や教育歴も、有病率と有意な関連が認められた。年間所得7万5,000ドル以下/超で二分して比較すると高額所得者のオッズは4割以上低く(aOR0.59〔0.58~0.61〕)、高校卒業後にも教育を受けた人はそうでない人よりもが2割強低かった(aOR0.76〔0.75~0.78〕)。
性別に関しては、女性に比べて男性においてオッズがやや高かった(aOR1.15〔1.13~1.16〕)。BMIカテゴリーで比較すると、普通体重(BMI18.5~24.9)を基準として、過体重(同25~29.9〔日本ではこの範囲も肥満に該当〕)はaOR1.57(1.54~1.60)、肥満(同30以上)はaOR3.64(3.57~3.71)だった。一方、習慣的な運動を行っている場合はaOR0.68(0.67~0.69)であり、オッズが有意に低かった。人種/民族での比較では、黒人のオッズが最も高かった(白人を基準としてaOR2.10〔1.98~2.22〕)。
2012年から2022年にかけての有病率の変化を州ごとに比較した場合、南部と中西部の州でより大きな増加が観察され、特にアーカンソー州、ケンタッキー州、ネブラスカ州での増加が顕著だった。Neupane氏は、「政策立案者や公衆衛生当局は、これらの地域における2型糖尿病予防に重点を置く必要がある」と述べている。
同氏はまた、「2型糖尿病のリスク因子を特定し、それを軽減するために行動することが重要だ。年齢や人種などのリスク因子は変えられないが、健康的な食生活、活動的なライフスタイルの維持、体重管理など、リスクを下げるためにできることはいろいろある」と、人々に行動の変化を呼びかけている。
[2024年8月21日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら