タバコを吸いたくなくなる食べ物は、果物や乳製品

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/03/25

 

 喫煙の欲求は、特定の食べ物や飲み物と関連する。新たな研究により、紙巻きタバコ・加熱式タバコ喫煙者において、摂取するとタバコを吸いたくなる飲食品は、ビールなどのアルコール飲料、コーヒー、脂肪の多い食品などであることが判明した。反対に、タバコを吸いたくなくなる飲食品は果物や乳製品であり、喫煙者では非喫煙者と比べて、果物や乳製品の摂取量が有意に少なかったという。京都女子大学家政学部食物栄養学科の三好希帆氏、宮脇尚志氏らによるこの研究は、「Tobacco Induced Diseases」に1月5日に掲載された。

 タバコの健康リスクや依存性は広く指摘されている。喫煙の欲求は摂取する食品と密接に関連しているが、欲求を効果的にコントロールする栄養学的な方法は確立されていない。また、日本で最近広まった加熱式タバコについては、まだ研究が少ない状況である。そこで著者らは、紙巻きタバコや加熱式タバコの喫煙者に対し、喫煙の欲求に関連する食品や味、調理方法などを横断的に調査した。

 この研究は、非喫煙者178人、紙巻きタバコ喫煙者242人、加熱式タバコ喫煙者237人の計657人(40〜69歳)を対象に行われた。対象者のうち男性は322人(年齢中央値53歳)、女性は335人(同52歳)だった。習慣的な食事の調査として、「簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)」を用い、一般的な58種類の食品の摂取量を推定。喫煙者には、「摂取するとタバコを吸いたくなるか否か、どちらでもないか」を、各食品・味(甘い、苦い、辛いなど9種)・調味料(砂糖、塩、酢など7種)・調理方法(揚げる、炒める、煮るなど7種)・料理のカテゴリー(和食、中華、西洋、韓国料理)のそれぞれについて尋ねた。

 その結果、摂取すると最もタバコを吸いたくなる飲食品はビール(78%)であり、アルコール飲料の多くが上位に位置した。また、ブラックコーヒー(65.6%)、焼き肉(44%)、ラーメン(33.3%)なども上位だった。最もタバコを吸いたくなる味、調味料、調理方法、料理のカテゴリーは、それぞれ油脂味(33.3%)、ソース(13%)、揚げ物(30.9%)、中華料理(42.9%)だった。反対に、摂取するとタバコを吸いたくなくなる飲食品は、果物や乳製品が上位に位置した。

 非喫煙者と比較すると、喫煙者の方がアルコール飲料の摂取量(中央値)は有意に多かった(非喫煙者10.3、紙巻きタバコ喫煙者76.6、加熱式タバコ喫煙者39.4mL/1,000kcal/日)。一方、喫煙者の摂取量(中央値)が有意に少なかったのは、乳製品(同順に76.3、48.2、57.6g/日)および果物(同順に46.4、22.2、31.4g/1,000kcal/日)であり、喫煙欲求と関連する飲食品とその摂取量には関連があることが明らかになった。

 さらに著者らは、加熱式タバコと紙巻きタバコ喫煙者では、喫煙欲求と関連する飲食品は異なるのかを検討している。「摂取するとタバコが吸いたくなる」と答えた人の割合を比較した結果、ラーメン(加熱式タバコ喫煙者38.4%対紙巻きタバコ喫煙者28.5%)、焼き肉(48.9対39.3%)、辛味(35.6%対23.3%)、油脂味(38.4%対28.5%)などの刺激の強い食品、油脂の多い食品は、紙巻きタバコ喫煙者よりも加熱式タバコ喫煙者の方が強く喫煙欲求と関連していた。調味料や味、調理方法、料理のカテゴリーの中にも有意差が見られるものがあったが、紙巻きタバコ喫煙者の方が割合が高いものはなかった。

 以上から著者らは、「特定の食品やアルコールなどの飲み物、果物、乳製品は喫煙の欲求と関連している」と結論。果物や乳製品などについては、これらの食品に含まれる有機酸が唾液のpHに影響し、ニコチンの吸収を低下させる可能性があるため、喫煙者で摂取量が少ない可能性があると説明している。加熱式タバコと紙巻タバコで喫煙の欲求に違いが見られたことに関しては、ニコチンのレベルや味覚への影響の違いを可能性として挙げた上で、「さらなる研究が必要だ」としている。

[2024年2月19日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら