日本の大学生の2割がロコモ

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/06/25

 

 日本の大学生400人以上を対象とした研究の結果、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の有病率が20%を超えていることが示された。また、ロコモと関連する要因は男性と女性で違いがあることも明らかとなった。国際医療福祉大学理学療法学科の沢谷洋平氏、同大学医学部老年病学講座の浦野友彦氏らによる研究であり、「BMC Musculoskeletal Disorders」に5月10日掲載された。

 ロコモは、運動器の障害により起立や歩行などの移動機能が低下した状態であり、ロコモが進行すると最終的には介護が必要となる。若年者にも一定の割合でロコモの兆候が見られると報告されているが、10代~20代の若年者を対象とする研究は不足している。また、男性と女性では筋力や体格に違いがあるため、ロコモと関連する要因も性別により異なる可能性がある。

 そこで著者らは、医療・福祉を学ぶ大学生413人(平均年齢19.1±1.2歳、男性192人)を対象とする横断研究を2023年4月~7月にかけて実施。日本整形外科学会の基準に準拠し、立ち上がりテスト(下肢筋力)、2ステップテスト(歩幅)、ロコモ25(体の状態・生活状況)の3つの「ロコモ度テスト」を行い、ロコモが始まっている「ロコモ度1」、ロコモが進行した「ロコモ度2」、ロコモがさらに進行して社会参加に支障をきたしている「ロコモ度3」に該当するかどうかを判定した。筋骨格系・身体組成の評価や、身体活動・栄養摂取習慣の調査などを行い、ロコモと関連する要因を男女別に検討した。

 その結果、413人中86人(20.8%)がロコモと判定され、そのうちロコモ度1が83人、ロコモ度2が3人だった。性別の内訳は男性が31人(16.1%)、女性が55人(24.9%)であり、ロコモの有病率は女性の方が有意に高かった。

 男性では、ロコモの人とロコモでない人の間で、片脚立ち(5秒以上)ができない人の割合および位相角(骨格筋の質の指標)に有意な差が見られた。一方、女性の場合は、体脂肪量、体脂肪率、骨格筋量指数(SMI)、運動器の痛み、握力に有意差が認められた。

 次に、ロコモであることを従属変数、ロコモの人とロコモでない人で有意差のあった項目(女性の体脂肪量は除外)を独立変数とする二項ロジスティック回帰分析を行い、ロコモと関連する要因を解析した。その結果、男性では片脚立ちができないこと(オッズ比7.326、95%信頼区間2.035~26.370)、女性では運動器の痛み(同2.985、1.546~5.765)および高い体脂肪率(同1.111、1.040~1.186)が、ロコモと有意に関連していることが明らかとなった。

 今回の研究で20.8%の人がロコモに該当したことから、若年期よりロコモの予防策を実施し、健康寿命を延ばすことの重要性が示された。著者らは、生活習慣の質はロコモの関連要因として示されなかったことを挙げ、中高年者との違いにも言及している。若年者のロコモの予防策として、「男性ではバランス能力を高めること、女性では体幹の筋肉を強化することが効果的である可能性がある」とし、さらに、「運動器の痛みについて整形外科専門医に相談し、適切な治療を受けることも重要だ」と述べている。

[2024年6月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら