COPD(慢性閉塞性肺疾患)の悪液質患者にグレリンを投与することにより、症状や呼吸筋力が改善する可能性があることを国立病院機構 刀根山病院の三木 啓介氏らが報告した。肺の悪液質は、病態が進行したCOPDでは一般的な徴候であり、死亡の独立した危険因子である。グレリンは新たな成長ホルモン放出ペプチドであり、成長ホルモンの独立した効果を有している。
研究グループはCOPDの悪液質患者33例を対象にグレリン投与群とプラセボ投与群に割り当て、多施設共同無作為化二重盲検比較試験を行った。試験期間中、両群とも呼吸リハビリテーションが並行して行われた。
主要アウトカムは6分間歩行距離とSGRQ(St. George Respiratory Questionnair)であった。
主な結果は以下のとおり。
・フォロー期間は7週間であった。
・投与開始3週後(95%Cl: -37~48、p=0.81)、7週後(95%Cl:-15~73、p=0.19)ともに6分間歩行距離に両群間で有意差は認められなかった。
・SGRQでは7週後の「症状項目」のみ、両群間で有意差が認められた(95%Cl:-29.5~2.1、p=0.026)。
・副次アウトカムでは7週後のMRC息切れスケール(95%Cl: -1.4~-0.1、p=0.030)と最大呼気筋力(95%Cl: 4.1~35.6、p=0.015)で有意差が認められた。
(ケアネット 鎌滝 真次)