大塚アメリカファーマシューティカル社のSteve Offord氏らは、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院と再発の状況を評価した。その結果、長時間作用型注射製剤による治療は入院回数、入院日数とも著明に減少させることを報告した。Journal of Medical Economics誌オンライン版2012年11月28日号の掲載報告。
本研究の目的は、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院および再発の発生を比較検討することであった。民間医療保険およびメディケアの保険請求を含む大規模データベースを用いて、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者を抽出。治療開始前のベースライン期間(12ヵ月)と治療開始後のフォローアップ期間(12ヵ月)における入院の状況と再発率を比較検討した。また、多変量解析を用いて、ベースライン期間とフォローアップ期間の入院回数および入院期間の差に及ぼす両製剤の影響を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・長時間作用型注射製剤の抗精神病薬を開始した民間医療保険加入患者(394例)において、治療開始前と比べて治療開始後は入院回数、入院期間とも有意に減少した。
全原因による入院回数:1.60±1.66 vs 0.70±1.20、p < 0.001
入院期間:16.9±20.7 vs 6.6±14.4日、p < 0.001
統合失調症に関連する入院回数:1.03±1.26 vs 0.43±0.86、p < 0.001
統合失調症に関連する入院期間:12.3±17.7 vs 4.8±12.8日、 p < 0.001
・長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者(2,610例)において、長時間作用型注射製剤は経口抗精神病薬と比べて入院回数および入院期間を有意かつ著明に減少させた。
全原因による入院回数:-0.90±1.77 vs 0.02±1.49、p <0.001
入院期間:-10.3±23.2 vs 0.7±16.7日、p <0.001
統合失調症に関連する入院回数:-0.60±1.37 vs 0.05±0.99、p <0.001
統合失調症に関連する入院期間:-7.5±20.7 vs 0.6±12.5日、p <0.001
・上記の結果は患者背景を考慮に入れた多変量解析によっても裏付けられた(ただし、すべての交絡因子を説明できない可能性があった)。
・以上のことから、長時間作用型注射製剤の抗精神病薬による治療は疾病管理(disease management)の改善につながる可能性が示唆される。
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(ケアネット)