高齢入院患者においてしばしば問題となるせん妄は、死亡率の増加を招く。せん妄治療に関するエビデンスは蓄積されているものの、高リスク患者における薬理学的予防に関する報告は限られている。米国・メリーランド大学のPolina Teslyar氏らはせん妄の高リスク入院患者に対する抗精神病薬の予防投与の影響を検討するためメタ解析を行った。その結果、術後の高齢入院患者に対する抗精神病薬の予防投与はせん妄リスクの減少につながると報告した。Psychosomatics誌2013年3月号の報告。
Pubmed、PsychInfo、コクラン比較臨床試験およびデータベースによる文献検索(1950年1月~2012年4月)を行った。せん妄を予防するために抗精神病薬が投与された唯一のRCT試験が含まれた。検索で使用したキーワードは「delirium」「encephalopathy」「ICU psychosis」「prevention」「prophylaxis」であった。せん妄診断の検証方法を基準に含めた。データ分析にはStataのmetanコマンド解析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・5試験(1,491例)が選択基準を満たした(ハロペリドール3試験、リスペリドン1試験、オランザピン1試験)。いずれの試験とも対象は術後の高齢入院患者であり、また異なる国で実施されていた。
・せん妄の相対リスクはプラセボ群と比較し、抗精神病薬投与群で50%減少した(RR [95%CI]=0.51 [0.33~0.79]、異質性p<0.01、ランダム効果モデル)。
・出版バイアスはファンネル・プロットにより検出されなかった。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)