米国・ザッカーヒルサイド病院精神医学研究部門のMasahiro Nitta氏らは、統合失調症における非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)追加投与の意義を検討するためメタ解析を実施した。その結果、NSAIDs追加によるベネフィットは明確に示されなかったことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年5月29日号の掲載報告。
統合失調症におけるNSAIDsの有効性と忍容性をプラセボと比較評価するため、メタ解析を行った。2012年12月31日までに公表されたPubMed、PsycINFO、ISI Web of Scienceおよび米国国立精神保健研究所(NIMH)の臨床試験登録を検索し、無作為化プラセボ対照試験のシステマティックレビューとメタ解析により、NSAIDs追加の有効性を評価した。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総スコアの変化とした。副次アウトカムは、PANSSの陽性および陰性サブスコアの変化、全原因による試験中止、忍容性とした。プールされた標準化平均変化によるランダム効果(Hedges'g)およびリスク比を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・未公表の3試験を含む8試験(774例)において、PANSS総スコアの平均効果量(effect size)は、-0.236(95%CI:-0.484~0.012、p=0.063、I2=60.6%)であり、NSAIDsのプラセボに対する優越性は傾向を示すにとどまった。
・PANSS陽性スコアの平均効果量は、-0.189(同:-0.373~-0.005、p=0.044)、PANSS陰性スコアの平均効果量は-0.026(同:-0.169~0.117、p=0.72)であった。
・全原因による試験中止の相対リスクは1.13(同:0.794~1.599、p=0.503)であった。
・PANSS総スコアにおけるNSAIDsのプラセボに対する有意な優越性は、アスピリン投与(2件、p=0.017)、入院(4件、p=0.029)、初回エピソード(2件、p=0.048)およびメタ回帰解析におけるPANSS陰性サブスコア低値(6件、p=0.026)などの状況下で減弱がみられた。
・以上のように、抗精神病薬によるファーストライン治療が行われている統合失調症患者において、NSAIDsの追加はPANSS総スコアの変化においてベネフィットをもたらさないことが示された。
・また、陽性症状においてはNSAIDsによるベネフィットが得られる可能性があるが、その効果はわずかで小さいものであった。
・データベースに限界があるため、とくに初回エピソード患者においてはさらなる対照試験が必要である。
関連医療ニュース
統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?
高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?
統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか?
(ケアネット)