進化する日本のC型肝炎治療-新規DAAs「シメプレビル」の有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/02

 

 未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1感染患者に対するシメプレビル/ペグインターフェロン(PegIFN)α-2a/リバビリン(RBV)の3剤併用療法は、PegIFNα-2a/RBVの2剤併用療法と比較して強力な抗ウイルス活性を示し、持続性ウイルス応答率(SVR)が有意に高いことが、関西労災病院 林 紀夫氏らのDRAGON studyで明らかになった。重篤な副作用も認めず、治療期間も大幅に短縮されるため、高齢者を含めた多くの患者に有用であると考えられる。Journal of gastroenterology誌オンライン版9月5日号の報告。

 近年、高い抗ウイルス効果をもつ経口の直接作用型抗ウイルス薬(DAAs:direct-acting antiviral agents)が相次いで開発されている。DAAsは、PegIFNα-2aやRBVと併用することで、より強力な効果を発揮し、治療期間も短縮できるため、期待を集めている。9月に承認されたHCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬「シメプレビル」もそのひとつであり、年内にも発売される見込みである。

 本研究は、未治療のHCV遺伝子型1感染患者92例(男性47例、女性45例、20~69歳、日本人)を対象とした多施設無作為比較試験。シメプレビル(1日1回)とPegIFNα-2a/RBVの3剤併用療法における有効性、安全性、薬物動態を評価した。
対象は、Response Guided Therapy(RGT)の基準に従い、以下の5群に無作為に割り付けられた。

 シメプレビル 50mg (12週間)+PegIFNα-2a/RBV(24週間) 27例(A群)
 シメプレビル 100mg(12週間)+PegIFNα-2a/RBV(24週間)26例(B群)
 シメプレビル 50mg (24週間)+PegIFNα-2a/RBV(24週間) 13例(C群)
 シメプレビル 100mg(24週間)+PegIFNα-2a/RBV(24週間) 13例(D群)
 PegIFNα-2a/RBV(48週間)                  13例(対照群)

 主な結果は以下のとおり。

・シメプレビル群(A~D群)の血漿HCV RNAの減少は、4週時点におけるシメプレビル50mg群(A、C群)および100mg群(B、D群)でそれぞれ-5.2 log10IU/mLであり、対照群(-2.9 log10IU/mL)よりも迅速で、より実質的であった。
・治療開始後4週間以内にHCV RNA陰性化を認めた症例(RVR)の割合は、シメプレビル50mg群(A、C群)で83%、シメプレビル100mg群(B、D群)で90%、対照群で8%であった。
・シメプレビル群(A~D群)のSVRは77~92%で、対照群の46%と比較して高かった。
・シメプレビル群(A~D群)は、1例を除いて、24週間後に治療を完了することができた。
・シメプレビル群(A~D群)の再発率は8~17%で、対照群の36%と比較して低かった。
・安全性プロファイルは、シメプレビル群(A~D群)と対照群で顕著な差は認められなかった。

(ケアネット 武田 真貴子)