禁煙補助薬バレニクリンと自殺リスク増大に関するコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/20

 



バレニクリン(商品名:チャンピックス)は効果的な経口禁煙補助薬であるが、自殺行動、自殺リスクを増加させる可能性があるとの懸念が広がっている。バレニクリンが普及しだして以降、喫煙者における自殺リスクが高まっているとの報告が相次いでいるためだ。そこでイギリス・ブリストル大学社会医療部門のD Gunnell氏らの研究グループは、バレニクリンが、bupropionやニコチン置換療法など他の療法と比較して、自殺行動、自殺リスクの増加と関連があるのかを目的とした大規模な無作為化コホート研究を行った。BMJ誌2009年11月7日号(オンライン版10月1日号)掲載より。

ニコチン置換療法および禁煙補助薬治療を受けた8万例を対象




研究対象となったのは、General Practice Research Databaseに登録された、イギリス国内で2006年9月1日から2008年5月31日の間に、新しい禁煙治療のセッションを開始した18~95歳の男女80,660例。追跡期間中の初期治療で処方されたのは、ニコチン置換製品(n=63,265)、バレニクリン(n=10,973)、bupropion(n=6,422)だった。

主要評価項目は、致死的または非致死的の自傷とし、副次評価項目は自殺念慮とうつで、すべてCox比例ハザード・モデルを使って検討された。

自傷リスクは2倍、ただしエビデンスは見つからず




バレニクリンが、自傷リスク(致死的自傷2例、非致死的自傷166例)の増加と関連するという明白なエビデンスは認められなかったものの、95%信頼区間値から2倍増のリスクを除外することはできなかった。ニコチン置換製品と比較して、バレニクリンを処方された者の自傷に関するハザード比は1.12(95%信頼区間:0.67~1.88)であり、bupropionを処方された者は1.17(同:0.59~2.32)だった。

バレニクリンとうつ(2,244例)リスク増加との関連(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)、また自殺念慮(37例)リスク増加との関連(同:1.43、0.53~3.85)についても、エビデンスは認められなかった。

これらから研究グループは、バレニクリンの投与に伴う自傷の2倍リスク増加は除外できないとしつつも、自殺行動との関連をうかがわせる懸念についてはいくらかの安堵感を提供するものだったと述べている。