病院パフォーマンスレポート、導入による医療の質改善効果は不明

提供元:ケアネット

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公開日:2010/01/19

 



病院パフォーマンスレポートを導入しても、医療の質改善につながるかどうかは不明であることが無作為化試験の結果として報告された。カナダInstitute for Clinical Evaluative SciencesのJack V. Tu氏らが明らかにしたもの。治療過程や患者アウトカムについて、その質に関する成績表であるレポートカード導入と質改善について行った無作為化試験は初めてという。試験結果は、JAMA誌2009年12月2日号(オンライン版2009年11月18日号)で発表された。

病院86ヵ所について、成績表フィードバック時期をずらして無作為化評価




Tu氏らは、1999~2005年にかけて、カナダのオンタリオ州にある、86ヵ所の病院について、住民ベースのクラスター無作為化試験を行った。対象としたレポートカードは、急性心筋梗塞(12項目)とうっ血性心不全(6項目)の治療過程指標。

試験対象病院は1999年4月~2001年3月の間のパフォーマンスデータを基線とし、無作為に2004年1月にレポートカードのフィードバックがあった群(前期フィードバック群)、もう一方は2005年9月にフィードバックがあった群(後期フィードバック群)とに分けられた。両群は2004年4月~2005年3月の間の同指標の再調査が行われ評価された。

再調査までの治療過程指標改善に両群で差はなし




その結果、前期フィードバック群と後期フィードバック群との間に、試験開始時から再調査時点にかけての心筋梗塞の治療過程指標の改善に有意差は見られなかった(絶対格差1.5%、95%信頼区間:-2.2~5.1、p=0.43)。冠動脈性心不全の治療過程指標の改善についてもまた、両群で有意差は見られなかった(絶対格差0.6%、同:-4.5~5.7%、p=0.81)。

なお、追跡期間中の急性心筋梗塞の30日死亡率については、前期フィードバック群の方が、後期群に比べ、2.5%低率だった(95%信頼区間:0.1~4.9、p=0.045)が、院内死亡率については、両群で有意差は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)