認知症施設入所者、急性期入院時の経管栄養率は営利・大病院・末期ほど高い

提供元:ケアネット

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公開日:2010/02/23

 



米国ナーシングホーム入所の重度認知障害者が、急性期病院に入院した際に経管栄養を導入される頻度は、営利病院、病床数が多い病院ほど高く、また死亡前6ヵ月以内にICUを利用した人で高率であることが明らかになった。重度認知障害者に対する経管栄養のベネフィットに関しては議論が分かれている。一方で、ナーシングホームで経管栄養を受けている人の、およそ3分の2が急性期病院に入院した際に導入されている。米国ブラウン大学Warren Alpert校高齢者ヘルスケア研究センターのJoan M. Teno氏らは、導入傾向を明らかにしようと調査を行った。JAMA誌2010年2月10日号より。

入院中の経管栄養導入率は毎年減少




研究グループは、2000~2007年にかけて、米国のナーシングホーム居住の重度認知障害者16万3,022人について調査を行った。被験者の入院回数は、合わせて28万869件、入院先の急性期病院の数は2797カ所だった。

入院中の経管栄養導入率は、入院100件当たり0~38.9件と幅があり、平均値は同6.5件、中央値は5.3件だった。また、平均導入率は、2000年の7.9/入院100件から、2007年の6.2/入院100件へと徐々に減少していた。

導入率は営利病院が公立病院の約1.3倍、310床超の病院が101床未満の約1.5倍




入院中の経管栄養導入率は、公立病院が入院100件中5.5件に対し営利病院は同8.5件と、高率だった(補正後オッズ比:1.33、95%信頼区間:1.21~1.46)。

また、病床数が101床未満の病院では同4.3件だったのに対し、310床超では同8.0件と高かった(同:1.48、1.35~1.63)。

さらに病院で死亡した人のうち、死亡前6ヵ月に集中治療室(ICU)を利用した人が多い病院の方が、導入率も高かった。同割合が最も低い10分位範囲の群では、導入率は入院100件中2.9件だったのに対し、最も高い10分位範囲の群では、同10.1件だった(同:2.60、2.20~3.06)。

患者属性で補正した後も、こうした傾向には有意差がみられた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)