外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者で、75歳以上の高齢者のうち、術後補助化学療法を受けている割合は5割と、75歳未満の約9割に比べ、有意に低率であることが明らかになった。75歳以上患者への術後補助化学療法のレジメンは、毒性の弱いものが使用される傾向が強く、有害事象の発生率も低かった。米国RAND CorporationのKatherine L. Kahn氏らが、約700人の外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者について行った観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2010年3月17日号で発表した。
オキサリプラチンを含むレジメン、75歳以上は14%のみ
同研究グループは、2003~2005年にかけて、外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん、合わせて675人について調査を行った。
その結果、75歳以上の人で術後補助化学療法を受けていたのは、202人中101人(50%)と、75歳未満の87%に比べ、有意に低率だった(実施率の差:37%、95%信頼区間:30~45%)。
術後補助化学療法を受けた人のうち、レジメンにオキサリプラチン(商品名:エルプラット)を含んでいたのは、75歳以上では14人(14%)と、75歳未満の178人(44%)に比べ、有意に低率だった(実施率の差:30%、同:21~38%)。
治療開始後150日時点での中止は65歳以上が4割
術後補助化学療法の継続についてみてみると、治療開始後150日時点で治療を中止していたのは、65歳未満が25%に対し、65歳以上では40%に上った。
有害事象については、患者全体の162人(24%)に、最低1回の遅延性臨床的有害事象が認められた。術後補助化学療法を受けている人の同発生率は28%と、受けていない人の13%に比べ、2倍超だった。
術後補助化学療法を受けている人のうち、遅延性臨床的有害事象の補正後発生数1人当たり平均は、18~54歳が0.35、55~64歳が0.52、65~74歳が0.45だったのに対し、75歳以上は0.28と、低い傾向がみられた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)