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新規アンドロゲン受容体アンタゴニスト、去勢抵抗性前立腺がんで高い抗腫瘍効果と耐用性を確認

提供元:ケアネット

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公開日:2010/05/13

 



男性ホルモン阻害薬が無効となった去勢抵抗性の前立腺がんに対し、新規化合物MDV3100が高い抗腫瘍効果を示し、耐用性も良好であることが、アメリカ・スローンケタリング記念がんセンターのHoward I Scher氏らが実施した第I/II相試験で示された。MDV3100はアンドロゲン受容体へのアンドロゲンの結合を遮断し、リガンド-受容体複合体の核移行やコアクチベーター動員を阻害するアンドロゲン受容体アンタゴニストで、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、アゴニストとしての活性は持たないという。去勢抵抗性前立腺がんはアンドロゲン-受容体シグナル伝達に依存して持続的に増殖するため、このシグナル伝達をターゲットとする新たな分子標的薬を用いた内分泌療法の開発が進められている。Lancet誌2010年4月24日号(オンライン版2010年4月15日号)掲載の報告。

7種の用量を評価した第I/II相試験




研究グループは、2007年7月~2008年12月までにアメリカの5施設から登録された進行性・転移性の去勢抵抗性前立腺がん140例を対象に、MDV3100の抗腫瘍効果および安全性を評価する第I/II相試験を実施した。

各用量漸増群に3~6例を登録し、初回用量30mg/日を経口投与した。最終的に7つの用量群で検討が行われた(30mg群:3例、60mg群:27例、150mg群:28例、240mg群:29例、360mg群:28例、480mg群:22例、600mg群:3例)。

主要評価項目はMDV3100の安全性および耐用性プロフィールの同定とし、最大耐用量(MTD)を確定することとした。

MTDは240mg/日、良好な抗腫瘍効果と安全性、TTP中央値は47週




すべての用量群で抗腫瘍効果が確認された。すなわち、78例(56%)で血清前立腺特異抗原(PSA)の50%以上の低下を認め、59例中13例(22%)で軟部組織病変に対する奏効が得られ、109例中61例(56%)で骨病変が安定化し、51例中25例(49%)で循環腫瘍細胞数が「不良」から「良好」に転換した。

22例においてPET検査でアンドロゲン-受容体遮断の評価を行ったところ、60~480mg群においてアンドロゲン受容体の指標である18F-fluoro-5α-dihydrotestosterone(FDHT)結合の低下が示された。画像評価によるtime-to-progressionの中央値は47週(95%信頼区間:34週~未到達)であった。

28日以上の治療を受けた患者のMTDは240mg/日であった。最も頻度の高いgrade 3/4の有害事象として用量依存性の疲労感が16例(11%)にみられたが、通常は減量によって回復した。

著者は、「去勢抵抗性前立腺がんにおいて、MDV3100は有望な抗腫瘍効果を示した。この第I/II相試験の結果は、ヒトにおける前臨床試験の知見を確証するものであり、持続的なアンドロゲン-受容体シグナル伝達が去勢抵抗性前立腺がんの促進因子であることが示唆される」と結論している。なお、ドセタキセル治療歴のある進行前立腺がん患者を対象に、全生存期間をエンドポイントとしたMDV3100のプラセボ対照第III相試験がすでに開始されているという。

(菅野守:医学ライター)