EGFR変異の進行性肺がん、ゲフィチニブのファーストラインで無増悪生存期間が倍に

提供元:ケアネット

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公開日:2010/07/07

 



EGFR遺伝子変異を有した非小細胞肺がんに対し、分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)による治療は、従来の抗がん剤治療と比べ、再増悪までの期間が約2倍に改善することが明らかにされた。東北大学はじめ日本国内50施設が参加した北東日本研究機構(North East Japan Study Group:NEJSG)による報告で、NEJM誌2010年6月24日号で発表された。

抗がん剤未治療患者230例を、ゲフィチニブ群と標準抗がん剤治療に無作為化し追跡




北東日本研究機構は、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対しゲフィチニブが有効であるとの先行研究を受けて、EGFR遺伝子突然変異型を検出する高感度法を開発した。

本試験では、その手法で事前特定した患者に対し、ファーストラインとしての、標準抗がん剤治療とゲフィチニブ治療を比較することを目的に行われた。

被験者は、転移性非小細胞肺がんを有した抗がん剤未治療の230例。ゲフィチニブ投与群とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)+パクリタキセル(同:タキソール)投与群(標準治療)に無作為化し追跡した。

主要エンドポイントは、無増悪生存期間とした。副次エンドポイントは、総生存率、奏効率と毒性作用とした。

増悪までの期間、奏効率がゲフィチニブ群で有意に、毒性も許容範囲内




予定中間解析(最初の200例)の結果、増悪までの期間が、標準療法よりもゲフィチニブ投与群で、有意に延長していた。ゲフィチニブ群の死亡・疾患進行ハザード比は、0.36だった(P<0.001)。このため、試験は早期終了となった。

ゲフィチニブ群の増悪までの期間中央値は10.8ヵ月、標準治療群は5.4ヵ月で、ゲフィチニブ群のハザード比は0.30(95%信頼区間:0.22~0.41、P<0.001)と有意に長かった。

同様に、奏効率もゲフィチニブ群で有意に高かった(73.7%対30.7%、P<0.001)。

総生存率の中央値は、ゲフィチニブ群30.5ヵ月、標準治療群23.6ヵ月だった(P=0.31)。

高頻度にみられた有害事象は、ゲフィチニブ群では発疹(71.1%)、アミノトランスフェラーゼ値上昇(55.3%)で、標準治療群では、好中球減少(77.0%)、貧血(64.6%)、食欲不振(56.6%)、感覚性神経障害(54.9%)だった。なお、ゲフィチニブ群で間質性肺疾患による死亡が1例あった。

(医療ライター:朝田哲明)