変形性腰椎症を伴う慢性腰痛へのグルコサミン投与、痛みの日常生活への影響を改善せず

提供元:ケアネット

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公開日:2010/07/20

 



変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対しグルコサミンを6ヵ月投与したが、日常生活の痛みの改善に効果は認められなかったことが、ノルウェーのオスロ大学病院のPhilip Wilkens氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにされた。グルコサミンを服用する腰痛患者は少なくないが、変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対する効果についての研究は、これまでほとんど行われていなかった。JAMA誌2010年7月7日号掲載より。

グルコサミンを6ヵ月投与、RMDQスコアやQOLスコアを比較




同氏らは、変形性腰椎症を伴う慢性腰痛で25歳以上の患者、合わせて250人を無作為に2群に分け、一方には経口グルコサミン1,500mg/日を、もう一方にはプラセボを、6ヵ月にわたり投与した。

試験開始後、6週間、3ヵ月、6ヵ月、1年後に、その効果について調査を行った。

主要アウトカムは、痛みの日常生活に与える影響についての尺度であるRoland Morris Disability Questionnaire(RMDQ)スコアだった。副次アウトカムは、安静時・運動時の痛みのスコアと、生活の質(QOL)の尺度であるEuroQol-5 Dimensions(EQ-5D)スコアだった。

6ヵ月、1年後ともに両群で有意差なし




試験開始時のRMDQスコアの平均値は、グルコサミン群9.2、プラセボ群9.7と、両群で有意差はなかった(p=0.37)。

試験開始6ヵ月後のRMDQスコアの平均値も、グルコサミン群とプラセボ群ともに、5.0(95%信頼区間:4.2~5.8)だった。試験開始1年後も、RMDQスコアの平均値はグルコサミン群が4.8(同:3.9~5.6)、プラセボ群が5.5(同:4.7~6.4)と同等だった。

また試験開始6ヵ月後から1年後にかけての変化についても、RMDQスコア(p=0.72)、安静時の腰痛スコア(p=0.91)、運動時の腰痛スコア(p=0.97)、QOLに関するEQ-5Dスコア(p=0.20)のいずれについても、両群で有意差はみられなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)