妊娠34週~37週未満の後期早産では、新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)などの呼吸器疾患発生リスクが、妊娠39~40週の満期出産に比べ有意に増大することが、米国内最新の大規模データで裏付けられた。この点に関するデータはこれまで、10年以上前の、米国外データによるものしかなかったが、米国イリノイ大学シカゴ校のJudith U. Hibbard氏らが、米国内約23万件の出産データを基にして調べ明らかにした。JAMA誌2010年7月28日号掲載より。
2万弱の早産児のうち、36.5%がNICU
同研究グループは、米国内の病院19ヵ所(12機関)での、2002~2008年の23万3,844件の出産について、後ろ向きに追跡した。主要評価項目は、RDS、新生児一過性多呼吸、肺炎、呼吸不全、振動換気法または通常換気法によるサポートの発症・発生だった。
その結果、追跡期間内の後期早産1万9,334件のうち、7,055人(36.5%)が新生児集中治療室(NICU)入室となり、2,032人に呼吸機能障害が認められた。
一方、満期出産は16万5,993人で、うちNICU入室となったのは1万1,980人(7.2%)、呼吸機能障害がみられたのは1,874人だった。
RDS発症は妊娠38週の0.3%に対し34週の10.5%
RDSを発症したのは、妊娠38週の0.3%(4万1,764児中140児)に対し、妊娠34週の新生児では10.5%(3,700児中390児)と大幅に高率だった。
その他の呼吸器疾患について、妊娠38週と妊娠34週の新生児について比べてみると、新生児一過性多呼吸の発症率は0.4%対6.4%、肺炎は0.1%対1.5%、呼吸不全は0.2%対1.6%と、いずれも34週の群で高率だった。同傾向は、振動換気法または通常換気法によるサポートについても認められた。
RDSの発症リスクは、妊娠34週から週数の増加につれて低下し(補正後オッズ比が34週40.1→38週1.1)た。妊娠37週の39~40週に対するオッズ比は3.1だったが、38週では有意差はなくなった。この傾向は、新生児一過性多呼吸(補正後オッズ比が34週14.7→38週1.0)、肺炎(同7.6→0.9)、呼吸不全(同10.5→1.4)についても認められた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)