心血管イベント再発と責任・非責任病変関連のリスク因子

提供元:ケアネット

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公開日:2011/02/02

 

 急性冠症候群の原因となるアテローム硬化性プラークは、血管造影では軽度な冠動脈の狭窄部位で起こることが多いが、そのようなイベントの病変関連のリスク因子については十分に解明されていない。そうした中で米国コロンビア大学医療センターのGregg W. Stone氏らが、冠動脈アテローム性硬化の自然経過に関する前向き研究(PROSPECT研究)を行い見出した特徴などを報告した。NEJM誌2011年1月20日号掲載より。

急性冠症候群でPCIを受けた患者に冠動脈造影と血管内超音波検査を行い前向きに追跡

 Stone氏らは、急性冠症候群を来し経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた697例に対し、3枝についての冠動脈造影とグレイスケール・高周波血管内超音波検査を行った。その後に発生した主要有害心血管イベントについて、最初に治療した(責任)病変と未治療(非責任)病変のいずれと関連しているかを判定した。

 平均追跡期間は3.4年、主要有害心血管イベントの3年累積発生率は20.4%だった。

非責任病変に血管内超音波検査に基づく特徴が

 責任病変との関連が認められたイベントは12.9%、非責任病変との関連が認められたのは11.6%だった。追跡期間中のイベントで非責任病変との関連が認められたもの大半は、基線の冠動脈造影では軽度[平均狭窄度(±SD):32.3±20.6%]であった。

 しかし多変量解析の結果、イベント再発に関連した非責任病変は、関連していなかった非責任病変と比べて、プラーク面積≧70%(ハザード比:5.03、95%信頼区間:2.51~10.11、P<0.001)、最小内腔面積<4.0mm2(同:3.21、1.61~6.42、P=0.001)、高周波血管内超音波検査で薄膜線維性アテローム(TCFA)に分類される(同:3.35、1.77~6.36、P<0.001)という特徴が認められた。

 Stone氏は「急性冠症候群を来しPCIを受けた患者において、追跡期間中に発生した主要有害心血管イベントは、責任病変と非責任病変では同程度であった。予期しないイベントの原因となった非責任病変は冠動脈造影では狭窄は軽度であったが、グレイスケール・高周波血管内超音波検査により、大半はTCFAで、プラーク面積率が大きく、内腔面積は小さいという特徴が、単独もしくは複合して有していることが認められた」と報告をまとめている。

(武藤まき:医療ライター)