アロマターゼ阻害薬エキセメスタン、閉経後女性の浸潤性乳がん発症を有意に減少

提供元:ケアネット

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公開日:2011/07/06

 

 閉経後女性の乳がん予防に関して、アロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(商品名:アロマシン)が、浸潤性乳がん発症を有意に減少することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのPaul E. Goss氏ら「NCIC CTG MAP.3」試験グループが行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果による。これまで乳がん一次予防の化学療法としては、選択的エストロゲン受容体調節薬であるタモキシフェン(抗がん薬、商品名:ノルバデックスなど)やラロキシフェン(骨粗鬆症薬、同:エビスタ)が注目されてきたが、毒性効果がもたらすリスクに対する懸念からこれらの使用は広がっていないという。一方、エキセメスタンは、閉経後女性のエストロゲン抑制に優れ、実験モデルにおいて乳がん発症を減少することが認められ、また早期乳がん対象の試験において、対側原発性乳がんを、タモキシフェンよりも減少し副作用も少ないことが報告されていた。NEJM誌2011年6月23日号(オンライン版2011年6月4日号)掲載より。

4ヵ国から4,560例を登録し、無作為化プラセボ対照二重盲検試験

 NCIC CTG MAP.3試験は、カナダ、米国、スペイン、フランスで被験者を募り、35歳以上で適格条件[60歳以上、Gail 5年リスクスコア>1.66%(5年以内の浸潤性乳がん発症が100である可能性)、異型乳管過形成、異型小葉過形成、非浸潤性小葉がん、乳房切除を伴う非浸潤性乳管がん]を1つ以上有する閉経後女性を対象とし行われた。

 本試験は、浸潤性乳がんの65%の相対的減少を検知するようデザインされた。主要アウトカムは浸潤性乳がん発生率で、毒性効果、健康関連QOL、閉経期特異的QOLについても測定が行われた。

2004年11月~2010年3月の間に、4,560例が登録。被験者の年齢中央値は62.5歳、Gailリスクスコアは2.3%で、無作為にエキセメスタン群(2,285例)とプラセボ群(2,275例)に割り付けられ追跡された。

追跡期間中央値35ヵ月時点で、エキセメスタン群の65%の相対的減少を検知

 結果、浸潤性乳がんの65%の相対的減少は、追跡期間中央値35ヵ月時点で検知された。同時点の浸潤性乳がん発生は、エキセメスタン群11例(0.19%)、プラセボ群32例(0.55%)で、ハザード比0.35(95%信頼区間:0.18~0.70、P=0.002)だった。

 副次エンドポイントの侵襲性+非侵襲性(非浸潤性乳管がん)乳がんの年間発生率は、エキセメスタン群0.35%、プラセボ群0.77%(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.27~0.79、P=0.004)であった。

 有害事象は、エキセメスタン群88%、プラセボ群85%で発生した(P=0.003)。毒性効果の評価指標である骨折、心血管イベント、その他のがん、治療関連の死亡に関して両群間で有意差は認められなかった。

 QOLの差はわずかだった。健康関連QOLはSF-36質問票にて悪化、不変、改善の区分でスコア化されたが、両群間で有意な差は認められなかった。閉経期特異的QOLについてはエキセメスタン群の悪化(全体的に7%多く)が認められた。

Goss氏は、「乳がんリスクが中程度に上昇した閉経後女性に対して、エキセメスタンは侵襲性乳がんを有意に減少した。また追跡期間中央値3年の間、エキセメスタンは重篤な毒性効果との関連は認められず、健康関連QOLについての変化はわずかだった」と結論している。

(医療ライター 武藤 まき)