閉経前ホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対して、補助療法としてアロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(商品名:アロマシン)+卵巣機能抑制のほうが、タモキシフェン(同:ノルバデックスほか)+卵巣機能抑制よりも5年再発を有意に抑制したことが明らかになった。南スイスがん研究所のOlivia Pagani氏ら国際乳がん研究グループ(IBCSG)が、2003年に開始した2件の第III相無作為化試験の結果から報告した。これまでに閉経後の同患者では、タモキシフェン補助療法よりもアロマターゼ阻害薬のほうがアウトカムを改善することが報告されていた。NEJM誌オンライン版2014年6月1日号掲載の報告より。
アロマターゼ阻害薬補助療法の閉経前乳がんの有効性を検討
2つの試験は、タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬のエキセメスタンの補助療法としての有効性を検討した試験(TEXT)と、卵巣機能抑制について検討した試験(SOFT)で、閉経前ホルモン受容体陽性早期乳がん患者を被験者にそれぞれ5年間にわたって行われた。
卵巣機能抑制は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)作動薬トリプトレリン(国内未承認)、卵巣摘出または卵巣への放射線照射によって行われた。
今回の主要解析は、2試験の被験者4,690例のデータを複合して行われた。
アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群の5年再発ハザード比0.66
追跡期間中央値68ヵ月後、5年時無増悪生存は、アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群が91.1%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群が87.3%だった(再発・二次性浸潤がん・死亡のハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.60~0.85、p<0.001)。
また、5年時点で再発が認められなかったのは、アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群が92.8%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群が88.8%だった(再発HR:0.66、95%CI:0.55~0.80、p<0.001)。
死亡は194例(4.1%)で、全生存について両群間に有意差はみられなかった(アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群の死亡HR:1.14、95%CI:0.86~1.51、p=0.37)。
グレード3または4の選択的有害事象の報告は、アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群30.6%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群29.4%で、閉経後女性で報告された内容と類似したものであった。