食品への葉酸補強義務化で神経管欠損症が減少

1998年、さまざまな穀類製品に葉酸の補強が義務付けられたカナダでは、歴史的に神経管欠損症の有病率が、西部よりも東部で高い傾向を有するという。カナダ・ケベック州ラバル大学Philippe De Wals氏らの研究グループは、葉酸補強が義務付けられた前後の神経管欠損症有病率の変化について調査を行い、葉酸補強の効果を検証した。本報告はNEJM誌7月12日号に掲載された。
補強前・部分的補強後・全面的補強後の3期間で2,446例を比較検証
研究母集団には、1993年から2002年までカナダの7つの州(東からニューファンドランド・ラブラドール、ノバスコシア、プリンスエドワードアイランド、ケベック、マニトバ、アルバータ、ブリティッシュコロンビア)に在住していた妊婦(出生数190万)で、胎児性形成異常(奇形)を伴う生児出産・死産・妊娠中絶となったケース2,446例が含まれた。
公表されている赤血球中の葉酸濃度の検査結果に基づき、研究期間は補強前期間、部分的補強期間、全面的補強期間の3つに分けられた。研究グループは、州ごとに神経管欠損症のベースライン有病率と、補強が実施された後の減少の規模との関係を評価した。
神経管欠損症率は葉酸補強後で46%減少
神経管欠損症の有病率は出生1,000件につき、補強前は1.58だったが、全面的補強期間後は0.86と46%の減少を示した(95%信頼区間40-51)。減少の規模は各州で補強前ベースライン有病率に比例し、補強後には地域差はほとんど解消されていた。
観察された有病率の低下は、二分脊椎の低下(53%)が無脳症と脳ヘルニアの低下(各38%、31%)を上回っていた。
研究グループは「食品への葉酸補強はカナダにおいて、神経管欠損症の有病率の減少に密接に関連していることが明らかになり、有病率が高い地域ほど減少の程度は大きかった」と結論づけた。
(朝田哲明:医療ライター)
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