テストステロン補充療法の際に、5α-レダクターゼ阻害薬のデュタステリド(国内では前立腺肥大症としてのみ適応、商品名:アボルブ)を併用しても、筋肉・臓器・骨などを計測対象とした除脂肪体重の増加への影響はほとんどないことが明らかにされた。デュタステリドには、テストステロンの5α-ジヒドロテストステロンへの変換を阻害する作用がある。米国・ボストン大学のShalender Bhasin氏らが、約140人の健康な男性について行った、無作為化プラセボ対照試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月7日号で発表した。
テストステロン4つの用量とデュタステリドを併用、20週間後の除脂肪体重変化を比較
研究グループは、2005年5月~2010年6月にかけて、18~50歳の健康な男性139人を対象に試験を行った。被験者を無作為に8群に分け、うち4群にはテストステロンとデュタステリド(2.5mg/日)を、別の4群にはテストステロンとプラセボを、それぞれ20週間投与した。テストステロンの投与量は各群とも、50、125、300、600mg/週の4つだった。
主要アウトカムは、除脂肪体重の変化で、副次アウトカムは脂肪体重、筋力、性機能などの変化とされた。
デュタステリド群とプラセボ群に、変化に有意差なし
被験者のうち、20週間の試験を完了したのは102人だった。
テストステロン投与量補正後、デュタステリド群(いずれの投与量群とも)とプラセボ群で、除脂肪体重の変化量に有意差はなかった(p=0.18)。
具体的には、除脂肪体重の増加量平均値は、デュタステリド群でテストステロン50 mg/週群では0.6kg、同125 mg/週群では2.6kg、同300 mg/週群では5.8kg、同600mg/週では7.1kgだった。一方でプラセボ群は、テストステロン50 mg/週群では0.8kg、同125 mg/週群では3.5kg、同300 mg/週群では5.7kg、同600mg/週では8.1kgだった。
副次アウトカムの各指標についても、デュタステリド群とプラセボ群で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)