2型糖尿病の肥満成人に対し、生活習慣への強化介入で体重を減少して可動性改善を図ることで、身体障害の衰えを遅くできることが明らかにされた。米国・ウェイクフォレスト大学のW. Jack Rejeski氏らが、約5,000例を対象に4年間、強化介入をしつつ追跡した結果で、NEJM誌2012年3月29日号で発表された。2型糖尿病の人は加齢とともに、身体障害(特に可動性の低下)が増大することが知られる。一方で、そのような患者への、積極的な生活習慣改善介入による体重減少と可動性改善が、その低下を遅くすることが示されていた。
45~74歳の5,145例を強化介入群と糖尿病サポート・教育プログラム群に無作為化
Rejeski氏らは、2型糖尿病の肥満成人について、体重減少の強化介入が、心血管起因の罹病率および死亡率を低下するかどうかを検討している、現在進行中の多施設共同無作為化コントロール試験の「Look AHEAD」の参加者を対象に解析を行った。
2001~2004年の間に登録無作為化された45~74歳の5,145例のうち、データが入手できた5,016例について解析した。被験者は、無作為に、生活習慣への強化介入群と、糖尿病サポート・教育プログラムを受ける群とに割り付けられ追跡された。
主要アウトカムは、自己申告による可動性制限で、年1回、4年にわたり評価した。ヒドン・マルコフ・モデルを使って障害の程度を特徴づけ、混合効果序数回帰分析にて機能低下の可能性を推定し、両群について比較した。
4年時点、強化介入群の可動性低下リスクが48%低下
結果、4年時点で、生活習慣改善強化介入群(2,514例)では、高度な機能障害を呈したのは517例(20.6%)、可動性が良好であったのは969例(38.5%)だった。一方、サポート・教育ケア群(2,502例)は、それぞれ656例(26.2%)、798例(31.9%)だった。
生活習慣改善強化介入群はサポート・教育ケア群よりも、可動性低下リスクが48%低下した(オッズ比:0.52、95%信頼区間:0.44~0.63、P<0.001)。
そしてその効果の有意なメディエーターは、体重減少とフィットネス改善(トレッドミル検査について評価)であることが認められた。
生活習慣介入関連の有害事象は、筋骨格系の症状について1年時点で、わずかに高い頻度が報告されたことであった。
(武藤まき:医療ライター)