新生児脳症に対する低体温療法後の長期アウトカム

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/06/13

 

新生児脳症に対する低体温療法の有効性に関する無作為化試験の長期アウトカムが報告された。6~7歳時点における死亡またはIQスコア70未満の複合エンドポイント発生率は、通常治療群より全身低体温療法群のほうが低かったものの、有意差は認められなかったという。ただし、低体温療法群のほうが死亡率が低く、生存例における重度障害の発生率の増大は認められなかった。米国・ミシガン小児病院のSeetha Shankaran氏らによる本検討は、これまでに18~22ヵ月時点での早期報告が行われており、その時点では死亡率および中等度~重度障害発生の有意な低下が示されていた。NEJM誌2012年5月31日号掲載報告より。

通常治療群と低体温療法群で諸機能の長期アウトカムを評価
研究グループは、中等度~重度の脳障害を有する新生児を、通常治療(対照群)または食道温度33.5°Cで72時間全身冷却後、緩徐に復温する治療(低体温療法群)に割り付け追跡した。

6~7歳となった参加者について、認知機能、注意・遂行機能、視空間機能、神経学的アウトカム、身体的・心理社会的健康度を評価した。

主要評価項目は、死亡またはIQスコア70以下とした。今回の解析では208例の試験参加者のうち、190例で主要評価項目データが入手利用できた。

死亡またはIQスコア70以下、低体温療法群47%、対照群62%、P=0.06
死亡またはIQスコア70以下は、低体温療法群は93例のうち46例(47%)、対照群は97例の58例(62%)でみられた(P=0.06)。

死亡はそれぞれ27例(28%)と41例(44%)で(P=0.04)、死亡または重度障害はそれぞれ38例(41%)と53例(60%)だった(P=0.03)。

生存小児は122例(低体温療法群70例、対照群52例)で、その他の転帰データが得られた。

このうち、中等度~重度障害がみられたのは、低体温療法群69例中24例(35%)、対照群50例中19例(38%)だった(P=0.87)。また、注意・遂行機能障害はそれぞれ4%と13%で(P=0.19)、視空間機能障害は4%と3%でみられた(P=0.80)。

(朝田哲明:医療ライター)