高齢者の深部静脈血栓症の診断、Dダイマーは年齢依存性カットオフ値で

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/22

 

 プライマリ・ケアでの深部静脈血栓症診断のためのDダイマー値について、カットオフ値を従来の500μg/Lではなく、50歳超では「年齢×μg/L」、60歳以上では「750μg/L」を用いるのが安全な除外に結びつくことが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのHenrike J Schouten氏らが、後ろ向き断面診断解析の結果、報告した。BMJ誌6月9日号(オンライン版2012年6月6日号)掲載報告より。

Dダイマーのカットオフ値を50歳超936例を含む1,374例で検討

 研究グループは、オランダの3つの病院群に所属する110人のプライマリ・ケア医の協力で、1,374例の臨床的に深部静脈血栓症が疑われた連続患者[50歳超が936例(68.1%)]を対象に、2つのDダイマーのカットオフ値「50歳超では、年齢×μg/L」と「60歳以上では750μg/L」を当てはめ評価を行った。

 主要評価項目は、2つのDダイマーのカットオフ値を当てはめた場合に除外できた患者の割合と、偽陰性だった数とした。

Dダイマーの年齢依存性カットオフ値は最も高齢な80歳超群で最も高率に安全に除外

 被験者のうち647例は、ウェルズ・スコアで深部静脈血栓症の可能性が低いと判断された。

 これらの患者(全年齢)において、通常の500μg/LのDダイマーのカットオフ値を用いた場合に除外された患者は272例(42.0%)であったが、2つのDダイマーの年齢依存性カットオフ値を用いた場合は309例(47.8%)で、5.7%増加することができた(95%信頼区間:4.1~7.8%)。偽陰性事例の除外率はそれぞれ0.3%、0.5%で、0.2%増加した(同:0.004~8.6%)。

 Dダイマーの年齢依存性カットオフ値を用いた除外率の増加は、最も高齢な80歳超の患者群で最も高率だった。80歳超の患者で安全に除外できたのは、通常のDダイマーのカットオフ値を用いた場合は13例(21.0%)だったが、Dダイマーの年齢依存性カットオフ値を用いた場合は22例(35.5%)で、14.5%増加した(6.8~25.8%)。

 Dダイマーの年齢依存性カットオフ値と比較して、750μg/Lのカットオフ値も、同程度の除外率(307例、47.4%)および偽陰性率(0.3%)だった。