BRCA1/2突然変異を有する女性の30歳前の放射線検査は、乳がんリスクを増大することが示された。オランダ・がん研究所のAnouk Pijpe氏らが、1,993例を対象とした後ろ向きコホート研究「GENE-RAD-RISK」の結果、報告した。リスクの増大は照射線量依存的で、その他の放射線曝露コホートで増大が認められた人よりも少ない照射線量でリスクの増大がみられたという。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。
放射線検査と乳がんリスクとの関連を推定
「GENE-RAD-RISK」は、BRCA1/2突然変異キャリアにおける放射線検査と乳がんリスクとの関連を推定することを目的とした後ろ向きコホート研究。
2006~2009年にフランス、英国、オランダで行われた3つの試験「GENEPSO」「EMBRACE」「HEBON」に参加した女性計1,993例を対象とした。
主要評価項目は、加重Cox比例ハザードモデルで推定した乳がんリスクで、個々の乳がん発生までの時間による推定、公表値に基づく推定照射線量による推定、自己報告に基づく放射線検査の回数に基づいて算出した。
照射線量によりリスクは1.63~3.84倍
結果、30歳前に放射線検査を受けたBRCA1/2突然変異キャリアは、乳がんリスクが1.9倍増大した[ハザード比(HR):1.90、95%信頼区間:1.20~3.00]。
リスク増大は、照射線量依存パターンがみられ、推定累積照射線量が<0.0020 Gy群が1.63(0.96~2.77)、≧0.0020~0.0065Gy群が1.78(0.88~3.58)、≧0.0066~0.0173Gy群が1.75(0.72~4.25)、≧0.0174Gy群が3.84(1.67~8.79)であった。
異なる放射線検査法についての解析では、20歳以前および30歳以前でX線受診を受けた回数が多い人で非受診群と比べてリスクが増大するというパターンが示された。
30歳以前のマンモグラフィ既往も、乳がんリスク増大と関連していた(HR:1.43、0.85~2.40)。
感度解析により、この知見は家族歴適応による交絡に起因しないことを示した。
結果を踏まえて著者は、「この結果は、BRCA1/2突然変異キャリアの若い女性では、評価のための主要なツールとして、非電離放射線画像診断技術(たとえばMRI)の使用を支持するものである」と結論している。