プライマリ・ケアでの肺塞栓症の除外、WellsルールとDダイマー検査の併用が有用/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/13

 

 プライマリ・ケアでの肺塞栓症の除外診断において、Wellsルールとポイント・オブ・ケア診断としてのDダイマー検査を併用するアプローチは安全で効果的な方法であることが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのGeert-Jan Geersing氏らが実施したAMUSE-2試験で示された。原因不明の息切れや胸膜炎性胸痛は診断が困難な症状であり、これらの患者と最初に遭遇するプライマリ・ケア医は気道感染症などの自己管理が可能な一般的な疾患と、肺塞栓症のような生命を脅かす疾患を鑑別する必要に迫られる。WellsスコアとDダイマー検査の併用により、肺塞栓症が疑われる患者の約3分の1が安全に除外可能なことが分かっているが、プライマリ・ケアにおける有用性は検証されていなかったという。BMJ誌2012年10月27日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。

プライマリ・ケアにおける有用性を前向きコホート試験で検証

 AMUSE-2(Amsterdam Maastricht Utrecht Study on thrombo-Embolism)試験は、プライマリ・ケアにおいて肺塞栓症を安全に除外する診断戦略として、Wellsルールとポイント・オブ・ケア診断としてのDダイマー検査の併用の有用性を検証するプロスペクティブなコホート試験。

 2007年7月1日~2010年12月31日までにオランダの3都市(アムステルダム、マーストリヒト、ユトレヒト)のプライマリ・ケア施設を受診した18歳以上の肺塞栓症疑いの患者598例を対象とした。

 Wellsルールの7項目について患者の病態をスコア化し、Dダイマー検査を実施した。診断は個々の施設の基準に従って行われた。スパイラルCTおよび3ヵ月のフォローアップなどによる複合的な標準的基準に準拠して、肺塞栓症を確定または否定した。

偽陰性率1.5%、感度94.5%、特異度51.0%

 73例(12.2%)が肺塞栓症と確定された。「Wellsスコア≦4かつDダイマー検査陰性」を閾値とすると、598例中272例が「低リスク」と判定された(有効率:45.5%)。低リスク判定例のうち4例が実際には肺塞栓症だった[偽陰性率:1.5%、95%信頼区間(CI):0.4~3.7]。

 この併用診断アプローチの感度は94.5%(95%CI:86.6~98.5%)、特異度は51.0%(同:46.7~55.4%)だった。

 著者は、「プライマリ・ケアでは、『Wellsスコア≦4かつDダイマー検査陰性』を判定基準とすれば、肺塞栓症の安全で効果的な除外が可能と考えられる」と結論し、「今後は、この併用診断に基づく患者管理が、医療費や患者負担の軽減の観点から実行可能か否かを評価する必要がある」としている。

(菅野守:医学ライター)