抗菌薬カテーテル、尿路感染症予防効果の裏付け得られず/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/13

 

 入院中のカテーテル関連尿路感染症減少のために、通常のフッ素樹脂製カテーテルと抗菌薬カテーテル(銀コーティングカテーテルまたはニトロフラール溶出型カテーテル)とを比較した検討の結果、銀コーティングカテーテルには症候性の尿路感染症発症に対する効果は認められず、抗菌薬溶出型カテーテルも臨床的意義がある減少は認められなかったことが明らかにされた。英国・ニューカッスル大学のRobert Pickard氏らが多施設共同無作為化試験を行った結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「抗菌薬カテーテルのルーチン使用を支持する裏付けは得られなかった」と結論している。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。

銀コーティング、抗菌薬溶出型、通常のフッ素樹脂の3タイプで優越性を比較
 研究グループは2007年7月23日~2010年10月15日の間、短期入院計画(≦14日)でカテーテル処置を要した16歳以上の患者を登録した、多施設共同(英国24施設)の3群平行無作為化対照優越性試験を行った。

 被験者は無作為に、銀コーティングカテーテル群(2,097例)、ニトロフラール溶出型カテーテル(2,153例)、フッ素樹脂製カテーテル群(対照群、2,144例)に割り付けられ(被験者、試験スタッフとも非盲検)追跡された。被験者には、当初はカテーテル処置が計画されていなかったが処置を受けた患者も含まれ、同意書は遡及的に得て組み込まれた。

 データは無作為化後6週間収集され(試験スタッフからと、患者の質問票への回答)、主要アウトカムは、症候性尿路感染症の発生(6週間までの抗菌薬処方)であった。

 評価では、カテーテル関連尿路感染症の減少が絶対差で3.3%の場合を、ルーチン使用推奨に十分なベネフィットがあるとした。

抗菌薬溶出型のフッ素樹脂製との減少差は-2.1%にとどまる
 主要アウトカムの発生は、対照群12.6%(271/2,144例)に対し、銀コーティングカテーテル群は12.5%(263/2,097例)であった[格差:-0.1%、95%信頼区間(CI):-2.4~2.2]。ニトロフラール溶出型カテーテル群は10.6%(228/2,153例)であった(同:-2.1%、-4.2~0.1)。

 一方、患者の回答の中で、カテーテル関連の不快感は、ニトロフラール溶出型カテーテル群が38.9%で、他の群(対照群26.5%、銀コーティングカテーテル群28.7%)よりも高かった。