重症外傷性脳損傷への頭蓋内圧モニタリング、アウトカム改善につながらず/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/16

 

 重症外傷性脳損傷に対する頭蓋内圧モニタリングによる治療を行っても、アウトカムは画像・臨床診断に基づく治療を行った場合と同等であることが示された。米国・ワシントン大学のRandall M. Chesnut氏らが、300人超について行った無作為化試験の結果、明らかにした。頭蓋内圧モニタリングは、重症外傷性脳損傷への標準的治療とされ頻繁に用いられているが、アウトカムの改善については厳密な評価はされていなかったという。NEJM誌12月27日号(オンライン版2012年12月12日号)掲載より。

生存期間や意識障害などを21項目で統合評価

 研究グループは、ボリビアとエクアドルの医療機関で、13歳以上で重症外傷性脳損傷を受けICUで治療中の324人を対象とし無作為化試験を行った。一方の群には、頭蓋内圧モニタリングを行い、もう一方の群には、画像・臨床診断に基づく治療を行った。

 主要アウトカムは、生存期間、意識障害、3・6ヵ月後の機能状態、6ヵ月後の神経心理学的状態に関する、21項目から成る統合評価指標とした。なお、神経心理学的状態の評価者は、患者の受けている治療プロトコルについて、知らされていなかった。

統合アウトカム、6ヵ月死亡率、ICU滞在日数は両群で同等

 結果、主要アウトカムについては、頭蓋内圧モニタリング群のスコアが56に対し、画像・臨床診断群は53と、両群で有意差はなかった(p=0.49)。

 また6ヵ月死亡率も、頭蓋内圧モニタリング群39%に対し、画像・臨床診断群は41%と両群で同等だった(p=0.60)。ICUでの脳に特化した治療日数は、画像・臨床診断群が頭蓋内圧モニタリング群に比べ有意に長かったものの(4.8日対3.4日、p=0.002)、ICU滞在日数の中央値は頭蓋内圧モニタリング群が12日間、画像・臨床診断群が9日間と、有意差はなかった(p=0.25)。

 重度有害事象の発症率についても、両群で同等だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)