うつ病患者に対する、パンフレットによる自助といった低レベルの介入は、初期症状がより重症であるほうが、より軽症である人に比べ、その効果は高いことが、メタ解析の結果、示された。英国・マンチェスター大学のPeter Bower氏らによる報告で、これまで、重症うつ病患者に対する低レベル介入効果の有無については不明であった。本結果を踏まえて著者は、「より重症のうつ病患者に対する低レベルの介入は、段階的ケアの一部として有用な可能性はある」と述べている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告より。
16試験、2,470人のデータをメタ解析
研究グループは、うつ病患者に関する16試験、被験者総数2,470人のデータを組み込んだメタ解析を行い、うつ病の初期症状の程度と低レベルの介入による効果について、その関連性を分析した。
低レベルの介入としては、うつ病患者向けのパンフレットによる自助、限定的な専門家によるサポート、インターネットを活用した介入などだった。
うつ病症状の程度については、ベック抑うつ評価尺度(BDI)またはうつ病自己評価尺度(CES-D)により評価した。
相互作用の程度は小さく、臨床的には有意ではない可能性も
被験者は低レベルの介入を提供されたが、実際にはその多くがベースライン時に中等症から重症のうつ状態だった。
解析の結果、ベースライン時にうつ状態がより重症の人では、より軽症の人に比べ、低レベル介入による治療効果が高いことが示された(回帰係数:-0.1、95%信頼区間:-0.19~-0.002)。
ただし、この相互作用の程度は小さく、臨床的には有意ではない可能性もあった。
研究グループは、初期症状がより重症のうつ病患者に対する低レベルの介入効果は、より軽症のうつ病患者に対する同介入効果と同等以上であることが示されたと結論。重症うつ病患者への低レベル介入は有用な可能性があるとした。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)