急性呼吸器感染症への抗菌薬処方について、特別に訓練を受けた一般開業医が訓練を受けていない一般開業医に対して情報提供をすることで、同割合がおよそ3割低下した。抗菌薬を処方した場合でも、より狭域な抗菌薬であるペニシリンV投与の割合が増加した。ノルウェー・オスロ大学のSvein Gjelstad氏らが、400人弱の一般開業医を対象に行った無作為化試験の結果で、現状では急性呼吸器感染症に対し、過度な抗菌薬処方が広く行われているという。BMJ誌オンライン版2013年7月26日号掲載の報告より。
2回訪問し、急性呼吸器感染症への抗菌薬投与に関するガイドラインなどを説明
研究グループは、ノルウェーの一般開業医79グループ・382人を対象に無作為化試験を行った。介入群の医師(39グループ、183人)には、特別な訓練を受けた一般開業医が2回訪問し、急性呼吸器感染症への抗菌薬投与に関するガイドラインや、最近のエビデンスについて説明をした。また、特別なソフトウエアを用い、その医師の前年の抗菌薬処方に関するデータを電子カルテから集め、それに基づいてディスカッションを行った。
対照群(40グループ、199人)には、70歳以上高齢患者への適切な処方に関する説明を行った。
主要評価項目は、抗菌薬の処方率と、ペニシリンV以外の抗菌薬の処方割合だった。
介入群で抗菌薬処方率はおよそ3割減、ペニシリンV以外の抗菌薬の割合も減少
その結果、介入群のベースライン時の急性呼吸器感染症への抗菌薬処方率は33.2%から31.8%へ減少し、対照群は33.4%から35.0%へ増加し、介入群での有意な減少が認められた(オッズ比:0.72、95%信頼区間:0.61~0.84)。また処方された抗菌薬のうち、非ペニシリンV抗菌薬の占める割合も、介入群で有意に減少した(同:0.64、0.49~0.82)。
なお、患者1,000人当たりの抗菌薬処方件数は、介入群で80.3から84.6へ、コントロール群で80.9から89.0へ増加していたが、これは抗菌薬処方を必要とする急性呼吸器感染症(とくに肺炎)の患者数が増加したことを受けてのものであった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)