ネットワーク・メタ解析において、プラセボ/未治療などの治療対照群を除外することは、解析結果に重大な影響をもたらす可能性が明らかになった。治療効果はプラセボ/未治療群除外の場合で1.16~3.10倍の違いがみられたという。カナダ・オタワ大学のEdward J Mills氏らによる検討の結果で、「仮に重要な治療比較群が失われていれば、臨床医にもたらされる研究の有用性が減弱される可能性がある」とまとめている。ネットワーク・メタ解析は、複数の介入について効果を比較することが可能でますます普及が進んでいる手法だが、解析に組み込む介入を都合よく選択することもあるとされていた。BMJ誌オンライン版2013年9月5日号掲載の報告より。
18のネットワークについて評価
研究グループは、ネットワーク・メタ解析に組み込む介入を選択して行うことで、治療効果推定値や治療の順位付けに違いが生じるかの観察的エビデンスを得ることを目的とした。複合ネットワークのサンプルを調べ、プラセボ/未治療の特異的治療群を除外後に再解析を行った。
PubMedおよびネットワーク・メタ解析の著者との連絡によって、治療群5つ以上を含むネットワーク、2つ以上のクローズドループがあるネットワーク、治療群総数に対し試験数が倍以上あるネットワーク、利用可能な試験レベルのネットワークのデータを入手し、研究デザイン、被験者、アウトカム、ネットワークの形状、除外治療の要件情報をまとめた。
750の治療比較がされていた757の無作為化試験を含む18件のネットワークが検討に含まれた。そのうち11件が事前にすべての治療群を評価とはしないことを規定していた。またプラセボ/未治療群を解析に組み込んでいたのは10件のみであった。
プラセボ/未治療群の除外は治療効果を1.16~3.10倍変動
18件のうち7件のネットワークにおいて、1つ以上の治療群除外によって、治療効果推定値は1.10倍以上、相対的に変化した。また18件のうち9件のネットワークにおいて、トップ3の治療順位が入れ替わった。
プラセボ/未治療群の除外については、10件のうち4件で除外前と比べて大きな相対的変化(治療効果の平均変化1.16~3.10倍)が生じた。
また、進行性の悪性病変の全身療法に関する3件のうちの1件のネットワークにおいて、現在一般的には使用されない薬を除外すると、かなりの変化(平均変化1.12倍)が生じることが示された。
これら結果を踏まえて著者は、「ネットワーク・メタ解析において治療群を除外することは、その結果に重大な影響を及ぼす可能性がある。仮に重要な治療比較群が失われていれば、臨床医にもたらされる研究の有用性が減弱される可能性がある」とまとめている。