シスタチンC値の単独またはクレアチニン値との併用による推定糸球体濾過量(eGFR)算出は、多様な集団において、死亡および末期腎不全(ESRD)リスクなどの転帰予測を改善することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael G. Shlipak氏らがメタ解析の結果、報告した。これまで、シスタチンC値にクレアチニン値を加味することが、eGFR算出精度を改善することは知られていた。しかし、多様な集団における慢性腎臓病(CKD)患者の検出や病期分類およびリスク層別化にもたらす効果については明らかではなかった。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。
クレアチニン値またはシスタチンC値の単独、または両者の組み合わせを評価
研究グループは解析に組み込む試験について、ベースラインの血清クレアチニン値またはアルブミン尿のデータが入手可能であった被験者を1,000例以上含むもの、また何らかの重大なアウトカムのイベント件数が50件以上あるものを適格とした。検索の結果、11件の一般集団対象試験(被験者総計9万750例)、5件のCKDコホート試験(被験者計2,960例)を解析に組み込んだ。
クレアチニン値単独またはシスタチンC値単独、あるいは両者を組み合わせて算出したeGFRについて、死亡率(15コホート、1万3,202例)、心血管系の原因による死亡率(12コホート、3,471例)、ESRD発生率(7コホート、1,654例)との関連を比較し、シスタチンC値を用いた場合の再分類の改善の程度を評価した。
シスタチンC値を用いたネット再分類改善度は、死亡0.23、ESRDは0.10
結果、一般集団コホートにおいて、eGFR 60mL/分/1.73m
2未満であった人の割合は、シスタチンCベース算出のほうがクレアチニン・ベース算出よりも高かった(13.7%対9.7%)。
クレアチニン値ベースのeGFR分類カテゴリ(0~14、15~29、30~44、45~59、60~89、90以上[mL/分/1.73m
2])と比較した、シスタチンC値を用いた再分類(高値または低値への再分類、または変動なし)によるアウトカムリスクへの影響についてみた結果、すべてのeGFR分類カテゴリにおいて、高値へのeGFR再分類は、本検討の3つのアウトカム(全死因死亡、心血管系死亡、ESRD)のリスク減少と関連していた。一方で、低値へのeGFR再分類は同リスク増大と関連していた。
クレアチニン値ベースと比較したシスタチンC値を用いた場合のネット再分類改善度は、死亡について0.23(95%信頼区間[CI]、0.18~0.28)、ESRDについては0.10(同:0.00~0.21)であった。
結果は、5つのCKDコホートにおいても、またクレアチニン値とシスタチンC値の両者を用いた場合においてもほぼ変わらなかった。