救急部門での急性頭痛、クモ膜下出血除外の新ルール/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/18

 

 神経障害のない急性頭痛症状の患者のクモ膜下出血の除外に、オタワSAH基準の感度がきわめて高いことが示された。カナダ・オタワ病院のJeffrey J. Perry氏らが行った、多施設共同コホート試験の結果で、JAMA誌2013年9月25日号で発表した。本検討は、先行研究で、クモ膜下出血の精査を必要とする患者を特定することについて示された3つの臨床決定ルール(それぞれ4つの指数が示されており1つ以上該当する場合は該当すると判定)が、急性頭痛患者でも効果があるのか、精度、信頼性、臨床許容性、ルール改良の可能性を検討することが目的であった。

カナダ10ヵ所の救急部門で成人2,131例を対象に試験
 研究グループは、2006年4月~2010年7月にかけて、カナダ10ヵ所の大学病院関連の三次医療救急部門を通じ、コホート試験を行った。被験者は、1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があり、神経障害は認められない成人患者2,131例だった。

 被験者の平均年齢は44.1歳、うち女性は60.5%だった。

 クモ膜下出血の定義は、(1)CTでクモ膜下出血が認められる、(2)脳脊髄液の黄色化、(3)血管造影による陽性所見を伴う、脳脊髄液の最終チューブにおける赤血球のいずれかとした。

オタワSAH基準により感度100%、特異度15.3%
 被験者のうちクモ膜下出血を発症していたのは、132例(6.2%)だった。

 クモ膜下出血に関する決定基準として、先行研究で示されている3つのルールのうちのルール1である「40歳以上」「首の痛みや硬直」「目撃者のいる意識消失あり」「労作時の発症」を採用した場合、クモ膜下出血に関する感度は98.5%(95%信頼区間:94.6~99.6)、特異度は27.5%(同:25.6~29.5)だった。

 そこに、「雷鳴頭痛」(発症後、即座に痛みがピークに達する頭痛)と、「診察時の頸部屈曲制限」を加えたオタワSAH基準では、感度は100%(同:97.2~100.0)と高く、特異度は15.3%(同:13.8~16.9)だった。

 著者は、「救急部門における急性頭痛症状の患者について、オタワSAH基準はクモ膜下出血を特定するのに非常に感度が高かった。今回の所見は特異的な臨床的特徴を有する患者においてのみ適用されている。ルーチンに適用する前に、さらなる実施研究が必要である」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏

梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科

J-CLEAR評議員