冠動脈石灰化スコア、密度スコアを加えることでリスク予測能上昇/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/12/02

 

 冠動脈石灰化(CAC)容積スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントリスクには正の関連が、またCAC密度スコアと同イベントリスクにはCAC容積値とは独立した有意な負の相関関係があることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael H. Criqui氏らが、約3,400例の観察試験被験者データを分析し明らかにした。CT測定のCACは、心血管疾患発生予測について高い適中率を有する。標準的なAgatstonスコアでは、カルシウム密度と正の相関があるとしているが、いくつかのデータにおいて、プラークのカルシウム密度上昇は心血管疾患に保護的に寄与する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

CAC容積スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは1.68~1.81倍に
 研究グループは、アテローム性動脈硬化症に関する、多施設共同前向き観察試験、「MESA」試験の被験者3,398例について、CACスコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクの関連を分析した。被験者は45~84歳で、ベースライン時には心血管疾患は認められなかった。

 追跡期間の中央値は7.6年で、その間に発生した冠動脈性心疾患イベントは175件、心血管疾患イベントは265件だった。

 多変量解析の結果、CAC容積スコアと冠動脈性心疾患イベントリスクとの間には正の相関関係があり、同スコアが1標準偏差(=1.6)増大することによるハザード比は1.81(95%信頼区間[CI]:1.47~2.23)であることが示された。絶対リスク増加は6.1/1,000人年だった。

 また心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は1.68(同:1.42~1.98)で、絶対リスク増加は7.9/1,000人年だった。

CAC密度スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは0.7倍に
 一方、CAC密度スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントの間には負の相関関係が認められた。同スコアが1標準偏差(=0.7)増大することによる冠動脈性心疾患イベント発生のハザード比は0.73(同:0.58~0.91)であり、絶対リスク減少は5.5/1,000人年だった。

 心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は0.71(同:0.60~0.85)、絶対リスク減少は8.2/1,000人年だった。

 ROC曲線下面積(AUC)分析の結果、冠動脈性心疾患と心血管疾患の両者について、容積スコアを含むモデルに密度スコアを加えることで、リスクの予測は有意に改善することが示された。中等度の心血管疾患リスク群において、イベントに対するAUCは0.53(95%CI:0.48~0.59)から0.59(同:0.54~0.64)に増大した(p=0.02)。

 上記を踏まえて著者は、「CAC密度の役割を見直して、現在のCACスコアシステムの評価に盛り込むべきである」と提言している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

専門家はこう見る

コメンテーター : 近森 大志郎( ちかもり たいしろう ) 氏

東京医科大学 第二内科 教授

J-CLEAR評議員