下腿潰瘍に対する弾性ストッキングの治癒効果、弾性包帯と同等/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/09

 

 静脈性下腿潰瘍患者に対し、2層弾性ストッキングと4層弾性包帯の潰瘍治癒効果は、同等であることが示された。英国・ヨーク大学のRebecca L Ashby氏らが、約450例の患者について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。静脈性下腿潰瘍に対しては、4層弾性包帯が標準治療とされているが、包帯がずれてまき直しが必要になるといった欠点も認められていた。Lancet誌オンライン版2013年12月6日号掲載の報告より。

2層弾性ストッキングと4層弾性包帯をそれぞれ着用
 研究グループは、英国と北アイルランドの34ヵ所の医療機関を通じ、静脈性下腿潰瘍の患者457例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方には2層弾性ストッキング(230例)を、もう一方には4層弾性包帯(223例)を装着し、その効果を比較した。被験者は全員、足関節上腕血圧比(ABI)が0.8以上だった。

 主要エンドポイントは、潰瘍治癒までの期間で、最大追跡期間は12ヵ月だった。Cox回帰分析を行い、潰瘍の部位、期間、身体可動性、医療センターについて補正した。

治癒までの期間と治癒率はストッキングでも同等、治療法変更率はストッキングが高率
 被験者のうち、データの得られた453例について分析を行った。

 その結果、潰瘍治癒までの期間の中央値は、弾性ストッキング群が99日(95%信頼区間:84~126)、弾性包帯群が98日(同:85~112)と同等だった。また、潰瘍が治癒した人の割合も、それぞれ70.9%と70.4%で同程度だった。

 なお、治療方法を変更した人の割合は、弾性包帯群が27.0%だったのに対し、弾性ストッキング群は38.3%で有意に高率だった(p=0.02)。

 有害イベントは、300例で895件認められた。そのうち85件(9.5%)は重篤例であったが、試験治療とは関係がなかった。

 著者は結果を踏まえて、「静脈性下腿潰瘍の治療に2層弾性ストッキングは、4層弾性包帯と効果が同程度で代替可能であるが、ストッキング群で治療方法を変更した人の割合が高かったことから、必ずしも全患者にストッキングが適しているわけではないことも示唆された」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)