新たに診断された膠芽腫患者の治療において、標準治療のテモゾロミド(商品名:テモダール)+放射線療法に、ベバシズマブ(同:アバスチン)を追加しても、生存期間は延長しないことが、フランス・エクス=マルセイユ大学のOlivier L. Chinot氏らによる第3相無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。テモゾロミドに放射線療法を追加する現在の標準治療は2005年に導入されたが、予後のさらなる改善は報告されていなかった。研究グループは、第1/2相試験において、再発例および新規診断例に対するベバシズマブの上乗せ効果が期待できる結果が得られたことから、今回、新規診断例に対するプラセボとの比較による第3相試験を行った。NEJM誌2014年2月20日号掲載の報告。
無作為化試験で無増悪生存と全生存を評価
試験は、テント上膠芽腫の患者を対象に行われた。患者は、ベバシズマブ静注(10mg/kg体重、2週ごと)群またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、放射線療法(2Gyを週5日、最大60Gy)+経口テモゾロミド(75mg/m
2体表面積/日)との併用治療を6週間にわたって受けた。28日間の治療中断後、テモゾロミド(150~200mg/m
2/日、5日間)+ベバシズマブ静注(10mg/kg体重、2週ごと)またはプラセボの併用による維持療法を6サイクル(1サイクル4週間)受けた。その後、増悪もしくは忍容できない毒性作用発現まで、ベバシズマブ静注単独療法(15mg/kg体重、3週ごと)またはプラセボの投与が続けられた。
主要エンドポイントは2つで、試験担当医評価による無増悪生存と全生存だった。
2009年6月~2011年3月の間に23ヵ国120施設で921例の患者が登録され、458例がベバシズマブ群に、463例がプラセボ群に割り付けられた。ベースライン時の両群の患者背景はバランスがとれていた。
無増悪生存期間は改善するも、全生存は改善せず、有害事象の頻度も高い
結果、無増悪生存期間の中央値は、ベバシズマブ群がプラセボ群より長かった(10.6ヵ月vs. 6.2ヵ月、増悪または死亡の層別化ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.55~0.74、p<0.001)。無増悪生存に関するベネフィットは、サブグループ全体(メチル化・非メチル化MGMT別などを含む)で観察された。
一方、全生存は、両群で有意差がみられなかった(死亡の層別化HR:0.88、95%CI:0.76~1.02、p=0.10)。ベバシズマブ群とプラセボ群それぞれの全生存率は、1年時点72.4%と66.3%(p=0.049)、2年時点33.9%と30.1%(p=0.24)であった。
ベースライン時の健康関連QOLおよびパフォーマンスステータスは、ベバシズマブ群のほうがより長期間維持した。また、糖質コルチコイドを必要とした患者が、より少なかった。
有害事象に関して、grade 3以上の発現患者がベバシズマブ群のほうが多く(66.8%vs. 51.3%)、grade 3以上の有害事象はベバシズマブと関連している頻度が高かった(32.5%vs. 15.8%)。
(武藤まき:医療ライター)