EGFR野生型NSCLCにおける第1世代TKI vs. 化学療法/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/23

 

 EGFR野生型(WT-EGFR)進行非小細胞肺がん(NSCLC)では、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と比較して、従来化学療法のほうが、無増悪生存(PFS)の改善が有意であることが示された。全生存率も化学療法のほうが高かったが有意ではなかった。韓国・ソウル大学のJune-Koo Lee氏らによる無作為化試験11件のメタ解析の結果、示された。現行ガイドラインでは治療歴のあるNSCLC患者について、EGFR TKIと化学療法の両方を標準治療の選択肢として推奨している。しかし、WT-EGFRを有する患者においてEGFR TKIの有効性が化学療法と同程度であるのかについては、明らかになっていなかった。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。

WT-EGFR患者1,605例が含まれた11論文をメタ解析
 WT-EGFR進行NSCLC患者について、第1世代EGFR TKIと化学療法の、生存との関連を調べるメタ解析は、2013年12月までに発表された各データソースの論文を探索して行われた。具体的には、PubMed、EMBASE、Cochrane databaseほか、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のミーティングアブストラクトから、進行NSCLC患者におけるEGFR TKIと化学療法を比較した無作為化試験を選択した。

 検索で得られた1,947本の論文のうち、WT-EGFRを有する患者1,605例が含まれていた11論文を解析に組み込んだ。

 データの抽出はレビュワー2名によって行われ、試験特徴とアウトカムを抽出。バイアスのリスクについては、コクランツールを用いて評価し、すべての計測値をランダム効果モデルを用いてプールし、95%信頼区間(CI)を算出した。

 主要アウトカムはPFSで、ハザード比(HR)で評価した。副次アウトカムは、客観的な奏効率と全生存で、それぞれ相対リスク、HRで評価した。

化学療法のほうがPFSを有意に改善、全生存の有意差はみられず
 結果、WT-EGFRを有する患者において、化学療法はTKIと比較して、PFSを有意に改善した(TKIのHR:1.41、95%CI:1.10~1.81、p<0.001)。

 治療選択順位(第1選択か第2選択か、それ以降か)、試験薬の違い、人種/民族性、EGFR変異解析法のサブグループ間の差は統計的に有意ではなかった。ただし、EGFR変異解析法に関して、直接塩基配列決定法よりも高感度検出法を用いた試験のほうが、化学療法のPFSベネフィットとの関連が有意であった(TKIのHR:1.84、95%CI:1.35~2.52)。また、治療選択順位に関して、化学療法のPFS改善との関連は、第2選択かそれ以降であった試験でも、有意であった(同:1.34、1.09~1.65)。

 客観的奏効率は、化学療法でより高かった[化学療法:92/549例(16.8%)対TKI:39/540(7.2%)、TKIの相対リスク:1.11、95%CI:1.02~1.21]。しかし、全生存に関して統計的有意差は観察されなかった(TKIのHR:1.08、95%CI:0.96~1.22)。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 倉原 優( くらはら ゆう ) 氏

近畿中央呼吸器センター

2006年滋賀医大卒業。洛和会音羽病院を経て08年から現職。
自身のブログ「呼吸器内科医」では医学論文の和訳や医療エッセーを執筆。