インターフェロンベースの治療では持続的なウイルス消失(sustained virological response:SVR)が得られなかったC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型1型感染患者に対し、レディパスビル+ソホスブビル配合薬の1日1回1錠投与による治療が有効であることが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのNezam Afdhal氏らが実施したION-2試験で示された。これら2つの薬剤は直接作用型抗ウイルス薬で、ソホスブビルは核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬、レディパスビルはNS5A阻害薬である。米国のガイドラインでは、既治療の1型感染患者に対しソホスブビル+NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬シメプレビル(±リバビリン)の併用療法が推奨されているが、これは第II相試験の限られたデータに基づくものだという。NEJM誌2014年4月17日号(オンライン版2014年4月11日号)掲載の報告。
4つのレジメンを無作為化試験で評価
ION-2試験は、既治療のHCV遺伝型1型感染患者に対するレディパスビル+ソホスブビル治療(LDV-SOF)の有用性を評価する非盲検無作為化第III相試験。ペグインターフェロン+リバビリン(RBV)(±NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬)による治療でSVRが得られなかった1型(1a、1b)感染患者を対象とした。
参加者は、LDV-SOF(LDV 90mg/SOF 400mg配合薬、1日1回1錠、12週)、LDV-SOF+RBV(12週)、LDV-SOF(24週)、LDV-SOF+RBV(24週)の4つの治療群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は治療終了後12週時のSVR率とした。SVRは、血清HCV RNA量<25IU/mLと定義した。
12週時SVR達成の427例は24週時もこれを維持
本試験には、2013年1月3日~2月26日までに米国の64施設から440例が登録された。LDV-SOF 12群に109例、LDV-SOF+RBV 12群に111例、LDV-SOF 24群に109例、LDV-SOF+RBV 24群には111例が割り付けられた。
各群の年齢中央値は55~57歳、男性が61~68%、白人が77~85%、平均BMIは28~29であった。全体の79%が1a型であり、20%に肝硬変が見られた。前治療でNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬の投与を受けていたのは52%であった。
12週時のSVR率はいずれの治療群も高値を示し、LDV-SOF 12群が94%、LDV-SOF+RBV 12群は96%、LDV-SOF 24群は99%、LDV-SOF+RBV 24群も99%に達しており、歴史的対照との間に有意な差を認めた(いずれもp<0.001)。12週時にSVRを達成した427例全例が、24週時にもSVRを維持していた。
治療終了後にウイルス学的再燃と判定された患者は440例中11例(2%)で、LDV-SOF 12群が7例(6%)、LDV-SOF+RBV 12群が4例(4%)であった。このうち10例は治療終了後4週までに再燃し、12週以降に再燃した例はなかった。
多変量解析で検出されたベースライン時の予後予測因子は肝硬変の有無のみで、全体のSVR率は非肝硬変例が98%、肝硬変例は92%だった。
各群の有害事象の発現頻度は67~90%で、ほとんどが軽度~中等度であった。有害事象に起因する治療中止例は認めなかった。高頻度に見られた有害事象は疲労感(21~45%)、頭痛(23~32%)、悪心(6~23%)であった。
著者は、「本試験で達成されたSVR率は、これまでに報告された1型感染患者を対象とした試験の中で最も高いものの1つである」としている。
(菅野守:医療ライター)