2型糖尿病患者における急性膵炎リスクについて、インクレチン関連薬使用者はSU薬使用者と比較して、同リスク増大と関連していなかったことが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のJean-Luc Faillie氏らによるコホート研究の結果、報告された。2型糖尿病患者における急性膵炎の発症とインクレチン関連薬の使用については、相反する報告が、前臨床の動物試験、臨床試験、有害イベントデータベース、そして観察試験において報告されている。研究グループは、同関連を明らかにするため観察試験を行った。BMJ誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。
英国GP関与データベースを用いて分析
試験は、英国内680人の一般医が関与しているClinical Practice Research Datalinkを用いて行われた。
2007年1月1日~2012年3月31日の間の、インクレチン関連薬の新規使用患者2万748例と、SU薬新規使用者5万1,712例を特定し、2013年3月31日まで追跡した。
主要評価項目は、各使用者における急性膵炎発生で、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。モデルは、10分位範囲の高次元傾向スコア(hdPS)を用いて補正された。
両薬の急性膵炎発生との関連は同程度
急性膵炎の粗罹患率は、1,000患者年当たり、インクレチン関連薬新規使用群が1.45(95%CI:0.99~2.11)、SU薬新規使用群が1.47(同:1.23~1.76)だった。
急性膵炎発生とインクレチン関連薬使用との関連は、SU薬使用者と比較して増大はみられなかった(hdPS補正後HR:1.00、95%CI:0.59~1.70)。
しかし今回の結果に関して著者は、「今回の結果は安心できるものであったが、リスクが完全に排除されたわけではない。さらなる大規模ベースの試験により、この所見について確認する必要がある」と述べている。
(朝田哲明:医療ライター)