慢性リンパ性白血病(CLL)への有効性が認められているブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(国内未承認)について、米国・オハイオ州立大学のJennifer A. Woyach氏らにより治療抵抗性のメカニズムが明らかにされた。再発患者の血液検体を用いた遺伝子解析の結果、イブルチニブ結合が起きるシステイン残基に突然変異がみられる頻度が高かったという。NEJM誌オンライン版2014年5月28日号掲載の報告より。
再発患者の血液検体をゲノム解析
研究グループは、イブルチニブ治療抵抗性を呈した6例の再発CLL患者の血液検体を用いて、ベースライン時と再発時点で全ゲノムエキソーム配列決定を行った。また、同定した変異の機能分析も行い、さらに、リンパ球増加が認められた9例の患者の血液検体について、トレントシーケンスを行い治療抵抗性変異の同定を行った。
イブルチニブ結合部位での突然変異を同定
結果、5例の患者で、イブルチニブ結合部位の
BTKでシステインからセリンへの変異が起きていることを同定した。また、2例の患者の
PLCγ2では、3つの異なる変異が起きていた。
機能分析では、
BTKの
C481S変異がイブルチニブの可逆的な阻害をもたらすタンパク質に帰着することが示された。また、
PLCγ2における
R665Wと
L845Fの突然変異が、自律的B細胞受容体活性に結びついている可能性も示唆されたという。
これらの変異は、イブルチニブ治療を受けリンパ球増加が認められた患者ではまったく認められなかった。
以上の所見を踏まえて著者は、「所見は、
BTKのすぐ下流に
PLCγ2の2種の突然変異があることを示すもので、CLLにおけるイブルチニブ活性作用におけるB細胞受容体経路の重要性を強調するものである」とまとめている。