胆嚢摘出後の腹痛、オッディ括約筋切除も緩和せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/13

 

 胆嚢摘出後に腹痛を伴う患者について、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)による内圧測定後にオッディ括約筋を切除しても痛みは軽減しなかったことが、米国・サウスカロライナ医科大学のPeter B. Cotton氏らによる多施設共同シャム対照無作為化試験の結果、示された。胆摘後の腹痛は頻度が高く、米国では毎年70万人以上が胆摘を受け、そのうち10%超で術後の痛みが報告されている。痛みはオッディ括約筋の機能不全が原因である可能性があり、ERCP内圧測定とオッディ括約筋切除が行われる頻度が高い。しかし今回の結果を踏まえて著者は「これらの患者に対する、ERCP内圧測定とオッディ括約筋切除の関連の裏付けは得られなかった」とまとめている。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。

術後腹痛患者214例を対象にシャム対照無作為化試験
 研究グループは、内視鏡的オッディ括約筋切除が痛みを緩和するのかについて、また、内圧測定により痛みの緩和を予測できるのかを調べた。

 2008年8月6日~2012年3月23日の間に、胆摘後に痛みを有するが画像診断や検査で異常がなく、また事前のオッディ括約筋切除や膵炎が認められなかった214例を、括約筋切除群またはシャム治療群に無作為に割り付けて1年間盲検下でフォローアップした(最終フォローアップは2013年3月21日)。このほかに非無作為化の観察試験群として、従来ERCP治療を受けた72例が登録された。

 214例の患者はERCP後、内圧値にかかわらず無作為に2対1の割合で括約筋切除群(141例)またはシャム群に割り付けられた。また切除群に割り付けられ内圧が高値であった患者は再度1対1の割合で、胆管または膵・胆管の括約筋切除に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、無作為化後9、12ヵ月時点で評価した治療成功とした。定義は、前90日間に痛みによる障害の期間が6日未満で、鎮痛薬を使用しておらず、さらなる括約筋切除を要しなかったこととした。

シャム群のほうが治療成功が有意との結果に
 結果、治療成功例は、シャム群27例(37%、95%CI:25.9~48.1%)、括約筋切除群は32例(23%、同:15.8~29.6%)だった(補正後リスク差:-15.6%、95%CI:-28.0~-3.3%、p=0.01)。切除群で内圧高値だった患者のうち治療が成功したのは、膵・胆管括約筋切除を受けた患者では14例(30%、95%CI:16.7~42.9%)、胆管括約筋切除を受けた患者では10例(20%、同:8.7~30.5%)だった。

 一方でERCPの再介入を受けた患者は、治療群が37例(26%、同:19~34%)、シャム群は25例(34%、同:23~45%)だった。有意差はみられていない(p=0.22)。

 内圧値はアウトカムと関連しておらず、また、括約筋切除のほうがその他よりも受けたベネフィットが大きいと思われたサブグループはなかった。膵炎の発生は初回括約筋切除後に15例(11%)で、シャム群では11例(15%)でみられた。

 観察群での治療成功は、胆管括約筋切除群で5例(24%、同:6~42%)、膵・胆管括約筋切除群は12例(31%、同:16~45%)、括約筋切除を受けなかった群では2例(17%、同:0~38%)だった。

(医療ライター:朝田哲明)