デジタル・マンモグラフィに3次元撮影技術のトモシンセシスを併用した乳がん検診の導入で、要精検率が減少し、がん検出率は上昇したことが、米国・アドヴォケイトルーザラン総合病院のSarah M. Friedewald氏らにより報告された。先行研究の単施設研究において、トモシンセシスの併用で、がん検出率が上昇し偽陽性率が低下したことが報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討で、臨床アウトカムとの関連を評価することが必要だ」と述べている。JAMA誌2014年6月25日号掲載の報告より。
トモシンセシス併用導入前と導入後、13施設の検診成績を評価
研究グループは、マンモグラフィとトモシンセシスの組み合わせが、米国の乳がん検診プログラムの成績改善に関連しているかを調べた。
大学/非大学乳がんセンター13施設の検診成績を、施設に関する補正を行ったミックスモデルを用いて、トモシンセシス導入前(デジタル・マンモ単独)と導入後(デジタル・マンモ+トモシンセシス併用)について後ろ向きに分析した。トモシンセシスの導入時期は2011年3月~2012年10月で、それ以前の1年間(2010年3月~2011年10月)を導入前、以降の2012年12月31日までを導入後として検討した。
主要評価項目は、要精検率(画像診断の再検)、がん検出率、精検および生検の陽性適中率だった。
浸潤がん検出は1,000検診当たり2.9から4.1に増大
評価検診数は、総計45万4,850例(マンモ単独群28万1,187例、トモシンセシス併用群17万3,663例)であった。
単独群では2万9,726例が要精検となり、生検5,056例においてがんと診断されたのは1,207例(浸潤がん815例、非浸潤がん392例)だった。一方併用群では、1万5,541例が要精検となり、生検3,285例においてがんと診断されたのは950例(浸潤がん707例、非浸潤がん243例)であった。
モデル補正後1,000検診当たりでみた要精検率は、単独群107(95%信頼区間[CI]:89~124)vs. 併用群91(同:73~108)であった(差:-16、95%CI:-18~-14、p<0.001)。同じく生検率は、単独群18.1(同:15.4~20.8)vs. 併用群19.3(同:16.6~22.1)(差:1.3、0.4~2.1、p=0.004)、がん検出率は、単独群4.2(同:3.8~4.7)vs. 併用群5.4(同:4.9~6.0)(差:1.2、0.8~1.6、p<0.001)であった。
また、浸潤がん検出率は1,000検診当たり単独群2.9(同:2.5~3.2)vs. 併用群4.1(同:3.7~4.5)(差:1.2、0.8~1.6、p<0.001)であったが、非浸潤がん検出率は両群とも1.4(95%CI:1.2~1.6)だった(差:0.0、-0.2~0.2、p=0.95)。
トモシンセシスを加えたことで、精検での陽性適中率は4.3%から6.4%に上昇し(差:2.1%、95%CI:1.7~2.5%、p<0.001)、生検の陽性適中率は24.2%から29.2%に上昇した(同:5.0%、3.0~7.0%、p<0.001)。
(武藤まき:医療ライター)