セリアック病の遺伝的発症リスク/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/17

 

 小児セリアック病の発症リスクをHLAハプロタイプとの関連で検討した結果、HLAハプロタイプがDR3-DQ2で、とくにホモ接合体を有する場合、小児早期でセリアック病自己免疫およびセリアック病のリスクが高いことが明らかになった。米国・デンバー小児病院のEdwin Liu氏らが前向き研究TEDDYの被験者を評価して報告した。セリアック病リスクとの関連については、HLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8が関連していること、また、発症児のほぼ全員が組織トランスグルタミナーゼ(tTG)の血清抗体を有していることは知られていた。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。

HLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8を有する小児を前向きに追跡
 TEDDY研究は、1型糖尿病の遺伝的リスクが高く、副次アウトカムとしてセリアック病を有する小児を追跡する多施設共同研究である。研究グループは、その一部被験者(出生時にHLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8を有していた小児)についてセリアック病自己免疫およびセリアック病の発症について評価した。

 研究は、米国3施設および欧州3施設(フィンランド、ドイツ、スウェーデン)の計6施設で行われた。

 主要エンドポイントは、セリアック病自己免疫の発症で、3ヵ月間隔で行われた2回の試験でtTG抗体が認められた場合と定義した。副次エンドポイントは、セリアック病の発症とし、生検により診断またはtTG抗体高値が持続している場合と定義した。

DR3-DQ2、とくにホモ接合体を有する小児で高リスク、環境要因の関連も浮上
 2013年7月31日時点で、6,403例が抗体検査を1回以上受け、そのうち5,778例(90%)が2回以上の抗体検査を受けた。

 追跡期間中央値は60ヵ月(四分位範囲:46~77ヵ月)であった。

 セリアック病自己免疫を発症したのは、786例(12%)だった。また、350例が生検を受け、そのうち291例でセリアック病が確認された。さらに生検を受けなかった21例でtTG抗体高値の持続が確認された。

 5歳時までの発症リスクは、DR3-DQ2ハプロタイプを1コピー有する小児では、セリアック病自己免疫は11%、セリアック病は3%であり、2コピー(DR3–DQ2ホモ接合)を有する小児ではそれぞれ26%、11%であった。

 補正モデルにおけるセリアック病自己免疫のハザード比は、遺伝的リスクが最も低い小児(DR4-DQ8ヘテロ接合体またはホモ接合体を有する)と比べて、DR3-DQ2のヘテロ接合体を有する小児では2.09(95%信頼区間[CI]:1.70~2.56)、同ホモ接合体を有する小児では5.70(同:4.66~6.97)だった。

 また、スウェーデン居住者で、セリアック病自己免疫の独立したリスク上昇が認められた(ハザード比:1.90、95%CI:1.61~2.25)。この点を踏まえて著者は、「スウェーデンで発症リスクが高かったことは、セリアック病との関連について環境要因を調べることの重要性を示唆するものである」と指摘している。

(武藤まき:医療ライター)