抗CTLA-4抗体+GM-CSF、転移性悪性黒色腫に有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/17

 

 転移性悪性黒色腫の治療において、イピリムマブ(承認申請中)+サルグラモスチム(sargramostim、国内未承認)併用療法は、イピリムマブ単独に比べ全生存期間(OS)を延長し、有害事象も少ないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のF Stephen Hodi氏らの検討で示された。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、抗原提示細胞である樹状細胞の活性を増強し、TおよびBリンパ球性抗腫瘍効果を促進するサイトカインであり、サルグラモスチムはイースト菌由来の遺伝子組み換えヒトGM-CSF製剤である。また、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)はTリンパ球活性を抑制する免疫チェックポイントであり、イピリムマブはCTLA-4を阻害する完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である。CTLA-4遮断薬とGM-CSF分泌腫瘍ワクチンを併用すると相乗的な抗腫瘍効果が得られることが前臨床研究で確認されている。JAMA誌2014年11月5日号掲載の報告。

GM-CSFの併用効果を無作為化試験で評価
 本研究は、転移性悪性黒色腫に対するイピリムマブ+サルグラモスチム併用療法の有用性の評価を目的に、米国で実施された無作為化第II相試験であった。対象は、年齢18歳以上、前治療歴は1つまで、中枢神経系の転移がなく、全身状態(ECOG PS)は0~1のStage III~IV悪性黒色腫患者であった。

 被験者は、イピリムマブ(10mg/kg、静脈内投与、3週ごと4回、その後は12週ごと)とサルグラモスチム(250μg、皮下投与、3週ごとに第1~14日目に)を併用する群またはイピリムマブ(10mg/kg)単独群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目はOSであり、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性などであった。

OSが約5ヵ月延長
 2010年12月28日~2011年7月28日までに、245例が登録され、併用群に123例、単独群には122例が割り付けられた。年齢中央値は併用群が61歳、単独群は64歳、男性がそれぞれ69.1%、63.9%、PS 0が56.2%、64.5%、Stage IIIが23.6%、25.4%、未治療が54.5%、55.8%であった。フォローアップ期間中央値は13.3ヵ月であった。

 OS中央値は併用群が17.5ヵ月、単独群は12.7ヵ月、1年生存率はそれぞれ68.9%、52.9%であり、有意な差が認められた(死亡に関するハザード比[HR]:0.64、片側90% repeated 信頼区間[CI]:NA~0.90、p=0.01)。

 一方、PFS中央値は両群ともに3.1ヵ月であった(p=0.37)。また、奏効率は併用群が15.5%(完全奏効:1.6%、部分奏効:13.8%)、単独群は14.8%(完全奏効:0、部分奏効:14.8%)であり、有意な差はみられなかった(p=0.88)。

 治療関連のGrade 3~5の有害事象の発現率は、消化管(16.1 vs. 26.7%、p=0.05)、肺(0 vs. 7.5%、p=0.003)、全体(44.9 vs. 58.3%、p=0.04)において併用群で有意に低かった。

 著者は、「サルグラモスチムの併用によりOSが延長し、安全性も良好であった」とまとめ、「これらの知見は、より大規模な臨床試験で長期のフォローアップを行って検証する必要がある」としている。

(菅野守:医学ライター)