低線量CT肺がん検診の費用対効果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/21

 

 低線量CTによる肺がん検診の増分費用対効果(ICER)について調べたところ、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル、1QALY当たり8万1,000ドルと推定されることが示された。一方で、サブグループ分析や感度分析では、そのICERに大幅なばらつきが認められたという。米国・Geisel School of Medicine at DartmouthのWilliam C. Black氏らが、全米肺スクリーニング試験(NLST)のデータを基に検討し明らかにした。NLSTの結果からは、低線量CTによる肺がん検診は、胸部X線検診に比べて、肺がん死亡率を低下することが示されている。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告より。

低線量CT肺がん検診、胸部X線肺がん検診、検診なしを比較
 Black氏らはNLSTのデータから、低線量CTによる肺がん検診、胸部X線による肺がん検診、肺がん検診なしの3群について、生存年数、質調整生存年(QALY)、1人当たり費用、ICERのそれぞれについて、予測平均値を算定し評価を行った。

 QALYについては、生存年は試験期間中の死亡数と試験終了時生存者の予測生存年を基に推定した。質調整値は、サブグループに対しQOL調査を行い推定した。費用は、医療サービス利用率やメディケアの償還額から割り出した。

 また得られた結果については、年齢や性別、喫煙歴、肺がんリスクによるサブグループ分析や、数種類の仮定別の感度分析を行った。

低線量CT肺がん検診、検診なしと比べ追加費用は1人1,631ドル
 分析の結果、肺がん検診をしない場合と比べて低線量CT肺がん検診の、1人当たり追加費用は1,631ドル(95%信頼区間:1,557~1,709)であった。また、生存年を1人当たり0.0316年(同:0.0154~0.0478)、1人当たりQALYは0.0201年(同:0.0088~0.0314)それぞれ延長した。

 ICERについては、獲得生存年1年当たり5万2,000ドル(同:3万4,000~10万6,000)、1QALY当たり8万1,000ドル(同:5万2,000~18万6,000)だった。ただしICERは、サブグループ分析や感度分析により、大幅なばらつきが認められた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)