南アフリカ共和国では、2009年に小児への7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)定期接種が導入され、2011年からはPCV7に代わりPCV13の定期接種が行われている。同国National Health Laboratory Service(NHLS)のAnne von Gottberg氏らは、ワクチン定期接種導入前後の侵襲性肺炎球菌感染症発症の変化を調べた。その結果、2歳未満児と22~45歳の年齢群での効果が最も大きく、それぞれPCV7タイプの肺炎球菌髄膜炎の減少は89%、57%であったことなどを報告した。NEJM誌2014年11月13日号(オンライン版2014年11月11日号)掲載の報告より。
ワクチン導入前と導入後の侵襲性肺炎球菌感染症の発生の変化を調査
2009年に導入された同国PCV7、PCV13の接種スケジュールは3回タイプのもの(生後6週、14週、36週時)で、2012年において1歳児の接種率(3回接種を完了)は推定81%であったという。
研究グループは、全国規模の検査施設ベースのサーベイランスを行い、ワクチン定期接種導入前(2005~2008年、ベースライン)から導入後2011年および2012年への疾患発生の変化を、同国ハイリスク年齢群(2歳未満、25~44歳)に焦点を当てて調べた。
全年齢の侵襲性肺炎球菌感染症の発生は40%減少
8年間(2005~2012年)のサーベイランスで、3万5,192例の侵襲性肺炎球菌感染症症例を特定した。このうち70%で分離株を入手できた。年齢が不明な症例は5%であった。
全年齢における侵襲性肺炎球菌感染症の発生は10万人年当たり、ベースライン9.4例から2012年は5.7例へと相対比で40%減少していた。
減少率が最も大きかったのは2歳未満児群と25~44歳群であった。
2歳未満児群の発生は、54.8例から17.0例へと69%減少していた。このうちPCV7に含まれる血清型の発生例だけをみると32.1例から3.4例へと89%(95%信頼区間[CI]:-92~-86%)減少していた。
HIV非感染小児におけるPCV7血清型疾患の発生は、85%(95%CI:-89~-79%)の減少であった。一方で、同群ではワクチンに含まれていない血清型の発症例が33%(同:15~48%)増大していた。
25~44歳の成人では、疾患発生は3.7例から1.6例へと57%(同:-63~-50%)減少していた。
結果を踏まえて著者は、「小児と成人においてみられたPCV7血清型の侵襲性肺炎球菌感染症発生の減少は、ワクチン接種の直接的効果と間接的効果が反映された結果だと思われる」とまとめている。