1型糖尿病、コントロール良でも死亡リスク2倍/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/05

 

 血糖コントロール(糖化ヘモグロビン値)6.9%以下であった1型糖尿病患者の全死因死亡/心血管系の原因による死亡は、適合一般集団の2倍であることが、スウェーデン・NU-Hospital OrganizationのMarcus Lind氏らによる検討の結果、明らかにされた。同国で1998年1月1日以降に登録された1型糖尿病患者(罹病期間 20.4年)を対象とした8.0年追跡した観察研究の結果で、同リスクは血糖コントロールが不良であったほど高く、9.7%以上の患者では全死因死亡は8.51倍、心血管系死亡は10.46倍であったという。これまで、1型糖尿病患者のレベル別血糖コントロールと全死因死亡/心血管系死亡との関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2014年11月20日号掲載の報告より。

血糖コントロールレベルの違いによる過剰死亡リスクを調査
 研究グループは、血糖コントロールレベルの違いによる過剰死亡リスクを明らかにするため、スウェーデン糖尿病患者集団におけるレジストリベースの観察研究を行った。

 レジストリから1型糖尿病患者を本検討に組み込み(患者群)、年齢、性別、居住県で適合した一般住民から、患者1例に対し5例の対照群を選び、両群について、スウェーデン死因別死亡登録を用いて2011年12月31日まで追跡した。

 被験者数は患者群3万3,915例、対照群16万9,249例。ベースライン時の両群特性のうち、平均年齢は患者群35.8歳、対照群35.7歳、女性被験者は両群とも45.1%で、患者群の平均糖化ヘモグロビン値は8.2%、平均糖尿病罹病期間は20.4年だった。

 なお患者群について血糖コントロール状態(糖化ヘモグロビン値)で分類すると、6.9%以下群6,142例(33.9歳、44.1%、16.4年)、7.0~7.8%群7,759例(37.2歳、44.7%、22.0年)、7.9~8.7%群8,951例(37.5歳、44.5%、22.8年)、8.8~9.6%群5,442例(36.1歳、45.0%、21.5年)、9.7%以上群4,000例(32.8歳、48.6%、18.3年)、不明1,621例だった。

適合一般集団と比較し、1型DM群の全死因死亡3.52倍、心血管系死亡4.60倍
 平均追跡期間は、患者群8.0年、対照群8.3年。同期間中の全死因死亡の発生は、患者群が8.0%(2,701/3万3,915例)、対照群2.9%(4,835/16万9,249例)で、患者群の補正後ハザード比(HR)は3.52(95%信頼区間[CI]:3.06~4.04)だった。心血管系死亡は、患者群2.7%(927例)、対照群0.9%(1,444例)で、患者群HRは4.60(95%CI:3.47~6.10)だった。

 対照群と比較した患者群の血糖コントロール状態別の多変量補正後ハザード比は、全死因死亡については、6.9%以下群2.36(95%CI:1.97~2.83)、7.0~7.8%群2.38(同:2.02~2.80)、7.9~8.7%群3.11(同:2.66~3.62)、8.8~9.6%群3.65(同:3.11~4.30)、9.7%以上群8.51(95%CI、7.24~10.01)であった。

 同じく心血管系死亡については、2.92(同:2.07~4.13)、3.39(同:2.49~4.61)、4.44(同:3.32~5.96)、5.35(同:3.94~7.26)、10.46(同:7.62~14.37)であった。

(武藤まき:医療ライター)