心不全のない慢性非弁膜症心房細動患者に対し、退院後、心臓専門看護師による家庭訪問を含む、心房細動に特異的なケアを行うことで、非入院生存日数が有意に長期化することが示された。オーストラリア・カトリック大学のSimon Stewart氏らが、335例の患者を対象に行った無作為化比較試験「SAFETY」の結果、報告した。慢性心房細動患者の入院は増加している。疾患特有の“マネジメント”が入院を減らし、生存を延長する可能性はあるが、そうした“治療アプローチ”の有用性を裏付けるエビデンスはなく、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年11月17日号掲載の報告より。
心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリング
Stewart氏らは、オーストラリア3ヵ所の三次医療機関を通じて、慢性非弁膜症心房細動で心不全のない患者335例を対象に、無作為化比較試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方(167例)には、退院後、ルーチンのプライマリケアと外来診察によるフォローアップから成る標準ケアを、もう一方(168例)には心房細動に特異的な「SAFETYケア」を行った。SAFETYケアでは、退院後7~14日間、心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリングと、長期にわたるフォローと必要に応じた多面的サポートを提供した。臨床的評価の記録は12ヵ月および24ヵ月時点で行われた(最小追跡期間とした)。
主要評価項目は2つで、全死因死亡または予期しないあらゆる入院だった。
非入院生存日数中央値、SAFETYケア群で有意に長期化
追跡期間の中央値は、905日(四分位範囲:773~1,050日)だった。その間の死亡は49例であり、予期せぬ入院は987例(延べ入院日数5,530日)だった。
標準ケア群の、最長生存日数に占める最長イベントフリー日数の割合は99.2%であった。また、最長生存日数937日における非入院生存日数中央値は860日であった。一方、SAFETYケア群はそれぞれ99.5%、900日であり、有意に良好だった(効果量:0.22、p=0.039)
主要評価項目の全死因死亡または予期せぬあらゆる入院の発生は、標準ケア群137例(82%、イベントフリー生存日数:199日)に対し、SAFETYケア群は127例(76%、同:183日)であり、同等だった(ハザード比:0.97、p=0.851)。
著者は「退院後、心房細動に特異的なケアプログラムは、標準ケアマネジメントと比べて、イベントフリー生存日数は同等だったが、生存および非入院日数の延長と関連していた。疾患特異的なケアマネジメントは、慢性心房細動で入院した患者の不良な健康アウトカムを改善する戦略となるだろう」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)